「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」、「ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」など、一定の要件を満たした住宅を購入すると、一般の住宅に比べてさまざまな税制優遇措置が受けられます。

認定長期優良住宅とは?

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」にて、認定基準が定められています。

長期優良住宅の認定基準(性能項目等)
劣化対策 耐震性 維持管理・更新の容易性
可変性 バリアフリー性 省エネルギー性
居住環境 住戸面積 維持保全計画

長期間にわたって使用可能な良質な住宅を増やすことを目指して、国が長期優良住宅の技術基準を設定しています。この基準を満たしているかどうかは、建築主の申請に基づいて地方自治体が審査、認定します。認定された住宅には着工が許可されます。

認定低炭素住宅とは?

認定低炭素住宅とは、「都市の低炭素化の促進に関する法律」の規定により低炭素建築物新築等計画が認定された住宅です。

低炭素住宅の認定基準の概要
必須項目
  • 省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量(家電等のエネルギー消費量を除く)が ▲20%以上となること
  • Z E H水準の強化外皮基準に適合すること
  • 再生可能エネルギー利用設備の導入
  • (戸建住宅の場合)省エネ量と再生可能エネルギー利用設備で得られる創エネ量の合計が 基準一次エネルギー消費量の50%以上であること
選択的項目
(右に揚げる低炭素化に資する措置等のうち、一定以上を講じていること)
  • HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)またはBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)の導入
  • 節水対策
  • 木材の利用
  • ヒートアイランド対策
  • V2H充放電設備(電気自動車に充電する設備など)の設置 など

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の住宅ローン控除

新築 中古
居住開始時期 2022年~2023年12月31日まで 2024年~2025年12月31日まで 2022年~2025年12月31日まで
控除期間 13年間 13年間 10年間
控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額 ※1 5,000万円 4,500万円 3,000万円
各年の住宅ローン控除額 各年末の住宅ローン残高×0.7%
対象税 所得税(所得税から控除しきれなかった場合は住民税から控除)
【参考】
適用全期間の最大控除額 ※2
455万円(35万円×13年) 409.5万円(31.5万円×13年) 210万円(21万円×10年)

※1 控除対象となる住宅ローン等の年末残高は、住宅の取得単価が限度になります。
※2 控除期間の最終年末のローン残高が、「控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額」よりも多い場合。

●年末の住宅ローンの残高×0.7%の金額が、所得税額よりも多い場合は、その年分の所得税の課税総所得金額等の5%(上限額97,500円)を限度に、翌年分の住民税から差し引かれます。

●認定長期優良住宅・認定低炭素住宅以外の適用要件は、一般住宅と同様。(詳細はこちら「6. 新築マンションで住宅ローン控除を受けるための条件とは」

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)水準省エネ住宅の住宅ローン控除
新築 中古
居住開始時期 2022年~2023年12月31日まで 2024年~2025年12月31日まで 2022年~2025年12月31日まで
控除期間 13年間 13年間 10年間
控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額 ※1 4,500万円 3,500万円 3,000万円
各年の住宅ローン控除額 各年末の住宅ローン残高×0.7%
対象税 所得税(所得税から控除しきれなかった場合は住民税から控除)
【参考】 適用全期間の最大控除額 ※2 409.5万円(31.5万円×13年) 318.5万円(24.5万円×13年) 210万円(21万円×10年)

※1 控除対象となる住宅ローン等の年末残高は、住宅の取得単価が限度になります。
※2 控除期間の最終年末のローン残高が、「控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額」よりも多い場合

省エネ基準適合住宅の住宅ローン控除
新築 中古
居住開始時期 2022年~2023年12月31日まで 2024年~2025年12月31日まで 2022年~2025年12月31日まで
控除期間 13年間 13年間 10年間
控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額 ※1 4,000万円 3,000万円 3,000万円
各年の住宅ローン控除額 各年末の住宅ローン残高×0.7%
対象税 所得税(所得税から控除しきれなかった場合は住民税から控除)
【参考】
適用全期間の最大控除額 ※2
364万円(28万円×13年) 273万円(21万円×13年) 210万円(21万円×10年)

※1 控除対象となる住宅ローン等の年末残高は、住宅の取得単価が限度になります。
※2 控除期間の最終年末のローン残高が、「控除対象となる住宅ローンの年末残高限度額」よりも多い場合

一般住宅の住宅ローン減税よりも優遇されている点は、控除対象となる住宅ローンの年末残高が多いことです。
このために認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅に該当する場合は、減税効果が大きくできると期待できます。

住宅ローンを組まなくても減税が受けられる

認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅は、住宅ローンを組まなくても減税される仕組みがあります(投資型減税)。これらの住宅の性能強化に必要な、標準的なかかり増し費用(45,300円/m2)の10%を、その年分の所得税額から控除でき、控除しきれなかった場合には、残りを翌年の所得税から差し引くことができます。
この制度は、住宅ローン控除と重複して適用はされず、いずれかの選択となります。

居住年 対象住宅 控除対象
限度額
控除率 控除限度額
2023年12月31日まで 認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
650万円 10% 65万円

●上記以外にも、所得要件や床面積などの条件があります。具体的な要件は税務署などにご確認ください。

登録免許税、不動産取得税、固定資産税のさらなる優遇

認定長期優良住宅を取得する場合は「登録免許税」、「不動産取得税の軽減措置」、「固定資産税等の特例」が一般住宅よりも優遇され、認定低炭素住宅を取得する場合は「登録免許税」が優遇されます。

認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 一般住宅特例
登録免許税 所有権保存登記 0.1% 0.1% 0.15%
所有権移転登記 0.1%
(マンション)
0.1% 0.3%
不動産取得税
(新築で取得する場合)
1,300万円控除 1,200万円控除
固定資産税 マンション 7年間 5年間
●新築住宅にかかる減額特例(税額が1/2になる)の適用期間

●適用期間:2024年3月31日まで