住宅ローンでマイホームを購入しようと思っても、頭金はどれくらい用意すればいいのか、どれくらいが妥当なのかなど、疑問を持っている方もいると思います。
そこで、マイホーム購入を検討している方のために「住宅ローンの頭金」に関する基礎知識についてご紹介します。
住宅ローンを組む前に頭金について知っておきたいこと
住宅ローンの頭金とは、購入物件の代金を支払うときに「住宅ローンを借りずに自己資金で充当する部分」のことです。つまり、「頭金+住宅ローン借入額=物件価格」という関係になります。
たとえば、物件価格4,000万円のマンションを購入する場合、400万円の頭金を用意すれば、住宅ローンを3,600万円借りることになります。頭金が800万円であれば、借入額は3,200万円です。
頭金を用意することで、どれだけ総支払額が変わってくるのか下の表をご確認ください。
物件価格 4,000万円の場合で試算(35年元利均等返済・金利2.0%・固定金利)
頭金の割合 | 頭金の金額 (A) |
借入額 | 毎月返済額 | 返済総額 (B) |
総支払額 (A)+(B) |
---|---|---|---|---|---|
0% | 0円 | 4,000万円 | 132,505円 | 約5,565万円 | 約5,565万円 |
10% | 400万円 | 3,600万円 | 119,254円 | 約5,009万円 | 約5,409万円 |
20% | 800万円 | 3,200万円 | 106,004円 | 約4,452万円 | 約5,252万円 |
30% | 1,200万円 | 2,800万円 | 92,753円 | 約3,896万円 | 約5,096万円 |
※表示の金利は試算用に想定したもので、実際の金利ではありません。
頭金の割合が大きいほど総支払額は少なくなり、負担が小さくなります。 頭金が0円の場合と比較すると、頭金が10%のときには総支払額が約156万円少なくなり、頭金が20%のときには313万円、頭金が30%のときには469万円も総支払額が少なくてすみます。
このように、頭金が多ければ多いほど、住宅ローンを借りる金額が少なくなり、その後の返済負担を小さくすることができます。
住宅ローンの頭金の目安はいくら?
一般的に住宅ローンの頭金は物件価格の2割程度が目安といわれています。
しかし、頭金の割合が大きいほど、住宅ローンの支払い総額は少なくなり、金融機関によっては、頭金の割合を増やすと住宅ローンの金利を優遇するところもあります。
そうなると、頭金は多いほどよいと思うかもしれませんが、一概にそうとは言い切れません。なぜなら、頭金を増やすための貯蓄に何年もかかる場合、その間に住宅の価格が上がることや、住宅ローンの金利が上昇する可能性が考えられます。そうなると、総支払額がかえって増えてしまい、思ったように削減ができなくなってしまいます。
物件価格の2割という割合はひとつの目安としてとらえ、住宅の価格がどのように動いているのか、金利はどうなっているのかなどの情報を総合的に考えて判断することが必要でしょう。
また、マイホームを購入する際には、登記費用やローンの保証料など、頭金以外にも諸費用がかかることに注意しましょう。
詳しくはこちら:マンションの購入費以外にかかる諸経費(諸費用)とは?
これらの費用は、基本的に現金で用意し、購入時に支払うことになります。さらに、転職や転勤、子供の進学など、将来起こる可能性のあることに対応できるように、ある程度のお金を生活予備資金や将来への貯蓄として手元に残して置いたほうがよいでしょう。一般的には、生活費の3か月~6か月分に加えて直近のライフイベントにかかる費用を加え、200万円以上あれば安心です。
住宅ローンの頭金が多い場合のメリット・デメリット
住宅ローンは頭金を多く用意した方が良いと言われます。しかし、頭金が多いと利息負担や毎月の返済金額が少なくなるというメリットがありますが、頭金を支払うと手元のお金が少なくなってしまうというデメリットがあります。
ここでは、頭金を多く用意した場合のメリットとデメリットについて説明します。
頭金が多い場合のメリット
- 頭金を多く払うと、毎月の返済額が少なくなる
- 住宅ローンの審査に通りやすくなる
- 頭金を払うことで住宅ローンの金利が優遇される場合がある
頭金が多い場合のデメリット
- 購入手数料などの諸経費を支払うお金が少なくなる
- もしも何かあった時のために備える貯蓄が減ってしまう
- 頭金が貯まるまでの間に、住宅価格や金利が上がってしまうことがある。また、定年後も住宅ローンを返済することにもつながる
- 賃貸住宅に住んでいる場合、頭金を貯める期間にも、家賃負担が発生する
このようなメリット、デメリットをふまえ、住宅ローンの頭金がある方がよい家庭、なくてもよい家庭の例について説明します。
頭金がある方がよい場合
高校生、大学生のお子さんがいるなど、教育費がかかる家庭では、月々の収入に対して出費が多くなることがあります。このような場合、毎月の返済額を減らすために、頭金を多く払った方がよいでしょう。また、数年後に退職を迎えるなど、収入が減少することが分かっている場合も、できるだけ頭金を払った方がよいといえます。
頭金がなくてもよい場合
将来収入が増える、または安定した収入をずっと得ることが見込まれる場合は、長期間安定した返済が可能なので、頭金がなくてもよいでしょう。
また、住宅の価格や金利の動向が右肩上がりで増えていくことが予想される場合、頭金を増やして借入金額を減らしたにも関わらず、総支払額が増えてしまうことがあります。このような場合には、気に入った物件があれば、頭金が貯まるまで待たずに購入する方がよいでしょう。
頭金がなくても住宅ローンは組めるのか?
以前は、住宅ローンを組むには、借入金額の2割程度の頭金を用意することが必要でした。しかし、現在では、頭金がなくても、住宅ローンを組むことができます。
頭金がなくても、物件価格の全額を借り入れできて、さらに、ローン手数料や引越し代などの諸経費まで借りられる住宅ローンもあるので、手持ち資金がほとんど無くてもマイホームを購入することができます。
たとえば、条件にもよりますが、物件価格3,000万円+諸費用120万円=合計3,120万円を頭金なしで借りることも可能です。
しかし、借入金が多くなれば、返済の負担も多くなります。借りられる額と、無理なく返せる額は異なる場合があります。しっかりとした返済計画を立ててから、住宅ローンを借りることが必要です。
住宅ローンは、借入金額も大きく、長い期間をかけて完済していくことがほとんどです。そのため実際に住宅ローンを組む前に、今回ご紹介した頭金の他にも、住宅ローン控除など、基本的な知識を得ておきましょう。