植物を眺めながら暮らせる庭が欲しい、家庭菜園で好きな野菜やハーブを育てたいといった想いはあっても、マンションに住んでいるからとためらっている方はいませんか?マンションのベランダはスペースが限られるものの、工夫をすればガーデニングを楽しむことができます。ベランダガーデニングには、地面から離れているので、病気や害虫が侵入する可能性が低いというメリットもあります。
今回は、ベランダガーデニングをはじめるときに準備するもの、ベランダでも育てやすい植物、マンションの共用部であるベランダでガーデニングをするときに、注意することやマナーについてご説明します。
目次
ベランダガーデニングで最初に準備すること
ベランダガーデニング初心者の方向けに、準備するときにやるとよいことをまとめました。
プランニング
ベランダガーデニングはプランニングから始めましょう。どのようなスペースにしたいのか事前にしっかりとイメージを固めることで、植物や道具を選びやすくなります。また、ベランダの条件によっては、育てることが難しい植物もあります。理想通りのベランダガーデニングができるように、プラニングの段階で注意するポイントを押さえておきましょう。
ベランダ環境の確認
日当たりや雨の量など、植物によって適した環境は異なります。そのため、まずはベランダの環境を確認しましょう。
特に以下の項目を確認してみてください。
- 日当たりがよいかどうか
- 風の強さはどうか
- 雨が降ったときにぬれるかどうか
- 室外機の風の出る方向
(植物に室外機の風が直接当たらないようにする必要があります。)
各環境によってどう進めればよいかは「2.ベランダガーデニングに適した植物の選び方・育て方・注意すること」でご説明します。
ベランダの環境を確認したら、次にその環境で植物を生育できるようにレイアウトを考えましょう。
レイアウトを決める
理想のベランダガーデニングのイメージがはっきりとしていなければ、インターネットや雑誌などで自分がワクワクするガーデニングの例を見つけることから始めてみましょう。
「5.ベランダガーデニング完成イメージ」でもいくつかのイメージをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
理想的なベランダガーデニングのイメージがつかめたら、レイアウトを決めていきましょう。床に大きなプランターを置いて花壇を作るのか、台を設置して小さな植木鉢をたくさん並べるのかなど、具体的に決めていきます。平面図を書くとよりレイアウトを決めやすくなります。
植物を決める
ベランダの生育環境やレイアウトに合わせて植物を決めます。ベランダガーデニングでは、多肉植物、観葉植物、ハーブ、野菜、花、フルーツなどの植物を選ぶことが多いです。それぞれの特徴をまとめました。
多肉植物:多肉植物はもともと砂漠や海岸のような乾燥した場所に生息する植物のため、日の当たるベランダが大好き。ベランダの床ではなく、棚や台の上にのせて高い位置に置くのがオススメです。多肉植物は乾燥に強いので、水の与え過ぎは禁物です。葉を触って柔らかくなっているときが水やりのタイミングです。また、多肉植物は寒さに弱い品種が多いので、冬場の温度管理には気をつけましょう。寒い夜は家の中に入れるなどの対応が必要です。
観葉植物:落ち着いた雰囲気のある観葉植物はベランダガーデニングの主役といえます。どの植物にもいえることですが、もともと生息していた環境に近いほど元気に育ちます。ベランダの環境(気温・日当たりなど)が適しているかを調べてから育てる品種や置き場所を決めるとよいでしょう。
ハーブ:鑑賞用だけでなく、食用やアロマとして使えるハーブはとても実用的。寄せ植えで楽しんでみましょう。ハーブには色々な種類があるため、日当たりや気温など似たような環境を好むものを一緒に植えて育てましょう。また、ミントのように虫除け効果のあるハーブは、他の植物を守るために活用できます。(ミントは根が強いので他のハーブとの寄せ植えは避けましょう。)
野菜:ベランダでも大きめのプランターを使えば、トマト、ナス、キュウリ、シソ、ネギなど色々な種類の野菜を栽培できます。大量収穫は難しいですが、自分で育てた野菜を食べる楽しみができるでしょう。食卓の会話も盛り上がりそうです。
花:季節の変化を味わうには花が一番かもしれません。複数の植物の寄せ植えなど、工夫次第で様々な演出ができます。
フルーツ:初心者には難しいですが、イチゴなどはプランターでも比較的簡単に栽培できます。ホームセンターや花屋の店員に相談するのもオススメです。レイアウトやイメージをしっかりと作っておけば、それに合う植物を教えてくれるでしょう。
用意するものと選び方
プランニングができたら、必要な道具を揃えましょう。
土・肥料の選び方
植物によって適した土質や肥料は異なります。ガーデニングには自分で土を作る楽しさもありますが、手間を考えると、特に初心者のうちはあらかじめ調整された土を買うことをオススメします。値段も調整されてないものとそれほど変わりません。ホームセンターや花屋では、観葉植物用の土や野菜用の土など植物別に土や肥料が取り揃えてあります。
プランター・鉢の選び方
プランターや鉢は、植物の特徴やレイアウトに合わせて、適当なサイズのものを選びましょう。
一般的によく使われている鉢、プランターのサイズは以下の通りです。全く同じものを選ぶ必要はありませんが、迷ったときは参考にしてください。
小さな多肉植物:1号(直径3cm)鉢
花1株:3号~6号(直径9cmから18cm)鉢
観葉植物:5号から9号(直径15cmから27cm)鉢
野菜を育てるプランター:幅62cm×奥行き22cm×深さ17cm
なお、観葉植物は購入したときより大きく育つものもあります。そのため、お店の人に聞いたり調べたりして、適したものを選びましょう。
また、鉢やプランターは素材によって機能や見た目の印象が異なります。好みの素材を選びましょう。
プラスチック:軽いのが特徴で、比較的安く購入できます。デザインや色も豊富です。
素焼き:素朴な味わいと通気性の良さが特徴ですが、割れやすいので取り扱いには注意しましょう。
ウッドボックス:ナチュラルな雰囲気の素材です。木製のため、プラスチックや素焼きのものと比較すると耐久性が低いです。
ブリキ缶:アンティークな印象を演出できますが、耐久性は低く、錆びることがあります。
棚・台
レイアウトに合わせて棚や台を購入する際は、屋外で使えるガーデニング用のものを購入することをオススメします。室内用の棚や台は屋外での使用が想定されていないため、防水加工がされていないなど、専用のものと比較すると耐久性が低いこともあります。
その他アイテム
シャベル:先の尖ったシャベルと先の広いシャベルがあります。細かい作業には尖ったシャベルが向いていて、土を掘り返す、植物を植えるといった作業には広いシャベルが向いています。初めて買うときは凡用的な先の広いタイプをオススメします。
ジョウロ:水やりや、液体肥料を与えるときに使用します。水を入れたときに楽に持ち上げられるサイズを選びましょう。
ハサミ:園芸専用のハサミを揃えておくと汚れを気にせずに使えます。園芸用のハサミは持ち手部分が長く、力を入れやすいつくりになっています。茎をつぶさずに切れるので植物も痛みにくいです。実際にハサミの持ち手を握ってみて、手の大きさに合うものを選びましょう。
手袋:軍手でもいいですが、濡れた土を触ることがあるので園芸用のビニール製の手袋がおすすめです。
土入れ:金属でできた筒状のシャベルに似た道具です。プランターや植木鉢などに土を入れるときに使用します。シャベルで代用できますが、筒状なので土をこぼしにくく、あると便利です。
ビニールシート・ほうき・ちり取り:注意していても、作業中に土がこぼれてしまうことがあります。あらかじめビニールシートを敷いておけば後片付けが簡単です。(マンションのベランダの排水口が詰まると、専門業者による修理が必要になってしまうことがあるので土が流れないように注意してください。)
ベランダガーデニングに適した植物の選び方・育て方・注意すること
植物の選び方と育て方のポイントをご紹介します。
ベランダの条件別:植物の選び方
植物の種類によって、育ちやすい環境は違います。植物にとってベランダの環境が適しているか確かめるコツは、買ったばかりのときに写真を撮っておくことです。最初の状態よりも1週間後、1カ月後の状態が悪くなっていれば、ベランダの環境が植物に適していない可能性があります。その場合は、置く場所や水やりの頻度を工夫してみましょう。
日当たりの良いベランダ
花や野菜、フルーツなど、日光を求める植物に向いています。
とはいえ夏場は強い日差しを浴びて葉焼けをしたり弱ってしまったりする植物もあるため、水やりの回数や時間に注意するだけでなく、日よけが必要になることもあります。また、つる植物を使ってグリーンカーテンを作るのも良いでしょう。ただし、景観保護やその他の理由でグリーンカーテンを禁止しているマンションもあるので事前に管理組合に確認しましょう。また、管理組合の規約では禁止されていなくても、他の居住者の方の迷惑にならないように気をつけましょう。
日当たりの悪いベランダ
日陰や半日陰になるような環境だと植物を育てるのは難しいように思われがちですが、実は葉を楽しむ植物に向いています。適している植物としては、アイビーやポリシャス、ドラセナなどの葉もののほかに、アジサイ、ヤブラン、インパチェンスなどの花も挙げられます。
なお、冬場など夜間に気温が下がるときは、段ボール箱などで植物を覆うと寒さを防ぐことができます。
風通しが良いベランダ
植物を育てるうえで、風通しは大切です。とはいえ風が強すぎると、植物の葉や茎が傷むこともあるため、置き場所に注意しましょう。また、乾燥しやすくなりますので、水やりの回数やタイミングを調整してください。
風通しが悪いベランダ
風通しが悪いベランダの場合、特に梅雨時や夏場などは植物が蒸れやすくなり、根腐れを起こすことがあるため注意が必要です。そのため、この環境を好む植物はないと考えてよいでしょう。
壁に吊るしたり、台に載せて高い位置に置いたりして植物のまわりに風が通るようにしましょう。
あらかじめ丈夫で育てやすい植物を選ぶのもオススメです。ここではベランダガーデニング初心者にオススメの特に育てやすい植物をご紹介します。これらの植物は丈夫なので、ある程度どんな環境でも育ちます。
花:パンジー、ペチュニア、ネモフィラ
野菜:ミニトマト、キュウリ、ルッコラ、ナス、ピーマン
ハーブ:バジル、シソ、パセリ
水やりのコツ
気温が高すぎるときや低すぎるときに水やりをすると、植物が傷ついてしまうことがあります。夏は比較的涼しい朝か夕方に、寒い時期は午前中の暖かい時間に水やりをするようにしてください。
肥料の注意
ベランダガーデニングには化成肥料を使いましょう。有機肥料は臭いがしたり、虫やネズミが寄ってきたりする場合があるので控えます。
肥料には緩効性(かんこうせい)タイプの固形肥料と速効性タイプの液体肥料があります。緩効性肥料は効き目がゆっくりで数ヶ月効果が持続します。メインの肥料として使用しましょう。液体肥料は生長時期や開花時期に合わせてそのときだけ使用するようにします。
植物によって適した肥料が異なる場合もあります。個々の植物に適した時期に、適した肥料を施しましょう。
ガーデニングでベランダをおしゃれにする方法
ベランダガーデニングをおしゃれに演出する方法をご紹介します。
ベランダの床をアレンジ
ベランダ用の床材パネルを使って、自分好みのレイアウトを実現しましょう。床材は、レンガ・木材・タイル・石材・人工芝など豊富な素材やデザインのものがあります。ベランダの印象が変わるだけでなく、夏場の照り返しを減少させる効果も期待できます。
ジョイント式の場合は、ベランダをきれいに掃除してから床材パネルを並べ、ジョイント部をつなげていくだけです。ただし、床材パネルで排水溝を塞がないように気をつけてください。また、床材パネルを敷けない狭いスペースには玉砂利などを敷くのもおすすめです。
ベランダの壁をアレンジ
ラティス(木製の格子状フェンス・パネル)やトレリス(植物を絡ませるフェンス)を使うと、壁に植物を吊るして立体的に飾ることができますし、目隠しとしても活用できます。
設置する場合はラティススタンド等を使って、土台をしっかり固定しましょう。
木箱を活用
肥料や道具類などを目に見えるところに置いておくと、ごちゃごちゃした印象になってしまいますよね。そんなときはガーデニング用の木箱を活用しましょう。木箱はベランダガーデニングに馴染みやすく、雰囲気を壊さずに小物を収納することができます。
ベランダガーデニングのアイデアと工夫
ベランダガーデニングをさらに楽しくするアイデアや工夫をご紹介します。
エアコンカバーを使う
市販のエアコンカバーを使えば、室外機をおしゃれな台に変身させることができます。色々なデザインがあるので、好みに合わせて選ぶことができます。カバーには室外機の劣化を防ぐ効果もあるのでオススメです。
狭い空間は棚などを活用
ベランダが狭くても、棚や台、ラックなどを利用して高さ・奥行きをつければスペースを有効活用できます。
ただし、風や地震などで倒れないように、置き方や固定方法には注意しましょう。
通年でガーデニングを楽しめる植物選び
季節の移ろいを楽しむのなら、一年を通して花が咲いているベランダを作りたいものです。そのためには、多年草と一年草をバランスよく配置するのがコツ。一年草だけだと、常に植物を植え替え続けなくてはならず大変です。一方、多年草だけだと季節によっては全く花が咲いていない時期ができてしまいます。
例えば、年間を通してきれいな葉を鑑賞できるギボウシ・アイビーなどの多年草と、春はスイートピー・夏はペチュニア・秋はコスモス・冬はパンジーなど季節ごとの一年草を組み合わせれば、四季を通じて絶やすことなく草花を楽しむことができます。
家族みんなで世話をする
小さな子どもにとって、植物のお世話をすることは命や季節を感じるかけがえのない経験となります。大人だけが世話をするのではなく、子どもが担当する植物を決めたり、お手伝いを任せたりするのもよいでしょう。
ベランダガーデニング完成イメージ
ベランダをどのように仕上げるか、イメージはできていますか?完成イメージをいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。
和風
壁に竹垣を立て掛け、植物とともに水をはった鉢や大きめの石などを配置しています。
鉢に水草を入れ、メダカの泳ぐビオトープにするのもおすすめです。
バリ風
葉が大きめな観葉植物を選び、ハンギングチェアや籐家具を設置すれば南国風に。
ティータイム
ティーテーブルセットの上や周りにお好きな植物を配置するだけでも、くつろぎのひとときが得られます。
ベランダガーデニングをする上での注意点
マンションのベランダは、災害時などの避難経路として他の居住者も利用できるように、共用部となっていることがほとんどです。(ただし、ルールを守っていれば通常時は自由にベランダガーデニングを楽しむことができます。)
ここでは、ベランダガーデニングの注意点についてご説明します。
マンションの管理規約について
管理組合が定めたベランダに関する管理規約を確認しましょう。管理規約はマンションごとに異なるので、自分が住んでいるマンションのものをしっかりと確認することが大切です。よくわからないことがある場合は管理組合に相談しましょう。
ベランダの耐荷重について
実は、ベランダには重量制限があり、建築基準法により1平米あたり180kgと定められています。普通に生活するには問題ない強度にはなっていますが、ベランダガーデニングをするときは、想像以上に総重量が重くなってしまうことがあるので注意しましょう。
例えば、大きい観葉植物用の鉢には10L近い量の土が入りますが、土だけで約20kgになります。更に植物と鉢の重さがあり、水やりも想定すると全部で30kg近くなってしまうこともあるでしょう。
また、床に敷くレンガは1個2.5kg程の重さです。一畳のスペースに敷き詰めると、総重量は200kg程にもなります。
ベランダガーデニング用に軽量化された土やレンガなども販売されているので、必要に応じて、検討してみてください。
避難ルートの確保
ベランダは緊急時の避難ルートとなるため、安全に通れるように配慮する必要があります。緊急時でも余裕を持って通れるように、隣の部屋との仕切りになっているパネルの前には大きな物を置かないようにしましょう。階下に避難する際に使用する避難ハッチの上にも、物を置かないようにしてください。
ベランダの水回りを確認する
水やりにかかる時間や手間だけでなく必要な道具(バケツ、ジョウロなど)も変わってくるため、ベランダに水道があるかどうかあらかじめ確認しておきましょう。
また、排水口が自分のベランダにない(隣などにある)場合、隣家へ水が流れ、迷惑をかけるおそれがあります。水の流れ方を事前に確認しておいた方がよいでしょう。
鉢の落下を防ぐ
ベランダからプランターや鉢が外に落下すると非常に危険です。ベランダの手すりにプランターをくくりつけて建物の外側に設置したり、落下する可能性がある所に鉢を置いたりするのは絶対に避けましょう。台風のときは、植物をなるべく室内に入れてください。中に入れられない場合は、ヒモなどで固定して、絶対に飛ばされないようにしましょう。
マンションでベランダガーデニングをする際には、注意点もいくつかあります。しかし、はじめにベランダの条件や環境をしっかりと確認してプランニングすれば、それ以降は日常的なお手入れだけで、ベランダガーデニングを存分に楽しむことができます。このコラムを参考にして、ぜひ取り組んでみてください。
【事例】ライオンズ芦屋グランフォート
(ライオンズ芦屋グランフォート:分譲済)
六甲山系の豊かな自然と四季折々の美しい風景。「ライオンズ芦屋グランフォート」は、そんな瑞々しい自然に囲まれた日本有数の邸宅地に建つレジデンスです。
1階の住戸にはリビング・ダイニングの先に専用庭、2階以上の住戸にはグリーンカーテン用のフックを備えたバルコニーと、ガーデニングを楽しめる空間が広がります。(一部住戸を除く)
マンションに住みながらも、風や光を感じ、植物を愛でる。
そんな暮らしの中で、新たな自分らしさを見つけてみてはいかがでしょうか。