昔はただ「洗濯物を干す場所」だったベランダですが、今では大きく様変わりして植物を育てたり、ティータイムを楽しんだり、マンションライフの新しい楽しみを生み出す場所になりつつあります。しかし、このベランダにはみなさんが意外と知らないでいることがあるのです。今回は、ベランダやバルコニーを利用する際に知っておくべき基礎知識と役立つ情報を次の4つのポイントにまとめてご紹介します。

  • ベランダは共用部分!
  • ベランダを利用する時の注意点
  • マンションライフを楽しむベランダ活用術
  • ライオンズマンションのベランダ活用事例

ベランダは専有部分でなく共用部分!

マンションで「専有部分」「共用部分」という言葉をお聞きになったことがあると思います。この2つはあなたに所有権があるかないかの違いなのですが、それぞれどの部分を示すのかを最初に説明したいと思います。

■専有部分
 壁、床、天井に囲まれたマンションの居住空間のこと。

■共用部分
 エントランスホール、共用廊下、屋上、階段室など専有部分以外の建物部分。さらに、エレベーターや電気・給排水、集合郵便受けなどの共用設備のこと。

さて、ベランダや専用庭ですが、これは専有部分のように思われがちですが、実は共用部分なのです。なぜなのでしょう?その理由について次で説明しましょう。

忘れてはいけない避難経路としての役割

ベランダが共用部分になっている一番の理由は、これらの場所が万が一の時の「避難経路」として利用されるからです。マンションは、火事などが起こった時に、居住者がベランダを通って避難できるような構造になっています。

仮に専有部分にしてしまうと、物が置いてあっても注意することができないので、避難ハッチ(はしご)や隣の部屋へとつながる「隔て板」が使えなくなってしまう、ということも起こります。これはマンション居住者一人ひとりの命の危険にもつながる大切なポイントです。

美観を損なう使い方にも注意

もうひとつ共用部分になっているのは美観上の問題もあります。外から見て一室のベランダだけが違う色に塗られていたり外に向かっていろいろな物が垂れ下がっていては建物全体の美観を大きく損なってしまいます。

また音やにおい、大勢の人の話し声などは他の居住者に迷惑がかかることもあるため、花火やバーベキューを禁止しているマンションは多くあります。共用部分に指定されているのはベランダで「各々が勝手なことをしないため」なのです。

とはいっても、他の部屋のベランダを自由に使えるわけではありません。マンションのベランダには居住者の合意の元、専有部分の持ち主が独占して使える「専用使用権」があります。通常時は、その部屋の居住者が独占的に使うことができるのでご安心ください。

ベランダ利用で気をつけたいこと

洗濯物を干す時は安全第一

マンションの作り付けの物干しは美観や安全性を考慮して低い位置に設置されているケースが多く、高層マンションではベランダでの洗濯物干しは禁止されている場合がほとんどです。
市販の物干しスタンドを設置する場合も安全性には十分に配慮しましょう。

掃除は一気に水を流さないように

ベランダの床は表面のみ防水処理をしたものが多いので、一気に水を流すと下の階に水漏れしたり、隣の部屋に水が流れていってしまうことがあります。まず掃除機やほうきでゴミ掃除をしてから、しっかりと水をしぼった雑巾で拭き掃除するといいでしょう。細かい部分は歯ブラシなどを使って汚れをかき出しましょう。

ベランダに出していいもの、ダメなもの

避難経路の話が出ましたが、では一般的にベランダにはどんなものを置くことができて、どんなものが設置禁止なのでしょうか。以下にまとめてみました。

多くのマンションで認められているもの
  • 植木鉢(小型のもの)
  • ウッドデッキやタイル、人工芝など
  • 簡単に移動できるイスやテーブルなど
通常、禁止されているもの通常、禁止されているもの
  • 物置・倉庫・サンルーム、その他の工作物
  • 多量の土砂を含んだ花壇
  • ペットを飼育するための小屋など
  • 大型の観葉植物
  • その他、突風や強風で飛散したり落下したりする可能性があるもの
確認した方がいいもの
  • 無線やBS・CSなどのアンテナ
  • バーベキューや花火などを行えるかどうか

やはり緊急時に移動しにくいものは禁止の対象になっていますね。

ライオンズマンションの使用細則例

ベランダやバルコニーの利用方法は「管理規約」の中の「使用細則」に書かれていることがほとんどです。実際にどんなものなのか、ライオンズマンションの使用細則から一例をあげてみましょう。

区分所有者ならびに占有者は、専有部分および専用使用部分の使用にあたり次の行為をしてはならない。

  • バルコニー、ルーフバルコニー、テラス、専用ポーチおよび専用庭等に設置型物置等これらに類する構築物を設置すること。
  • 窓、バルコニー、およびルーフバルコニー等の手すりにBS・CSアンテナ等を設置すること。
  • 窓、バルコニーおよびルーフバルコニー等から物を投げ捨てること。
  • 窓、バルコニーおよびルーフバルコニー等に土砂を搬入すること。また、大量の水を流すこと。
  • 窓、バルコニーおよび専用ポーチなどの手すりに寝具、敷物、洗濯物を干すこと。

使用細則はマンションによって異なる場合もあるので、現在マンションにお住まいの方はぜひ再確認してみましょう。また新しくマンションを購入する場合は契約時に「管理規約(案)」を渡されるので、入居前に確認することが大切です。

マンションライフを楽しむためのベランダ活用法

マンションでの暮らしは集団生活でもあるので、規則を守るのは当然のことですね。逆にいえば規則さえしっかり守れば充実したマンションライフを楽しむことができます。ここではベランダの活用法と注意点を交えてご紹介します。

ウッドタイルを敷いてイメージアップ!

コンクリートの床にウッドタイルを敷くだけでベランダの雰囲気は一変します。リビングなどからナチュラルな木の色が見えるのもうれしいものですね。ぜひ次の手順で挑戦してみてください。

使用細則などの確認

ベランダでウッドデッキやタイルを敷くことを禁止しているマンションもあります。まずは確認を。同時に大規模修繕の時期もチェックしましょう。
大規模修繕は10潤オ15年周期に行われ、その時はベランダには何も置かないのが原則です。大規模修繕が近々に迫っているのならば修繕後の方がいいですね。

素材を選ぶ

質感などを考えれば天然木ですが腐りやすいので塗装などのメンテナンスが必要です。
天然木でも広葉樹を使ったハードウッドなら20年以上は腐らないといわれています。また、針葉樹を使ったソフトウッドは毎年塗装が必要なようです。腐る心配のない樹脂製のもの(天然木材)を選ぶのもいいでしょう。

寸法を測る

まず、室外機や避難ハッチ(はしご)、排水口の位置を確認しましょう。避難ハッチや排水口は塞がないのが原則です。測る時は慎重に。何度か測って正確な数字を出すようにしましょう。

発注する

ウッドタイルはキットになっているものと1点単位のものがあります。キットでベランダのサイズにぴったり収まればベストですが、そうでない場合は専門店などで相談してみることをおすすめします。

敷きつめる

ちょっとした空きスペースができてしまうかもしれません。その場合は余分に買ったものをカットして使うか玉砂利などを敷いてみるのも一案です。

ベランダに家具を置く時の注意点!

週末のブランチをベランダでとる、そんなライフスタイルにもあこがれますね。ちょっとおしゃれなイスやテーブルを置けばリゾート気分も生まれそうです。
ただ、ここでもちょっと注意点があるので簡単にまとめてみました。

  • 緊急時などにすぐに動かせるものを選びましょう。
  • 軽量過ぎると強風で飛んでしまうこともあるので注意が必要です。
  • 据え置きで使うなら日焼けしにくいもの、耐久性のあるものを選びましょう。
  • 動線に注意してベランダ内でも歩きやすいように工夫しましょう。

ベランダでガーデニングを楽しむには

ベランダに面したリビングからグリーンが見える。ベランダ・ガーデニングを楽しんでいらっしゃる方も増えています。
マンションでは基本的にプランターなど容器を使うのが基本ですが、ここでもいくつか注意していただきたいことがあります。

  • エアコン室外機周辺は傷みやすいので植物を置かないようにしましょう。
  • 虫よけのスプレー等は隣家に飛ばないよう無風の日に短時間で散布しましょう。
  • 落下の危険があるのでベランダの外側にバスケット等を掛けないようにしましょう。
  • 臭いが周囲に広がらない化学肥料を使いましょう。
  • 水やりはベランダの中で。下の階に水が散布されないよう注意しましょう。
  • 排水口に枯れ葉や土がつまらないようにこまめに掃除をしましょう。

また、ベランダの耐荷重は1平米あたり180kgと建築基準法で決まっています。植物を1箇所に集めたり、ガーデニンググッズを置きすぎないように注意しましょう。

小さなお子様がいる時の注意点

小さなお子様がいる場合は「安全第一」であるかを確認しましょう。
イスやテーブルに乗って手すりを越えてしまわないか、プランターなどを放り投げてしまわないか、お子様にとって危険なものがないかをしっかりとチェックしましょう。お子様が運べるようなイスなどをベランダの近くに置かないようにすることも大事です。

ライオンズマンションモデルルーム ベランダコーディネート例

モデルルームでは、間取りや設備などを確認できるだけでなく、マンションでの暮らし方のご提案となるような空間づくりをしています。ライオンズマンションのモデルルームのベランダやバルコニーの写真をいくつかご紹介します。ベランダやバルコニーを活用する場合の参考にしてみてはいかがでしょうか。

グリーンカーテンが作る快適な日陰のあるベランダ。
コーヒーを飲みながらの読書は豊かな時間を感じさせてくれそうです。

 

眺望のよいベランダにテーブルとチェアを置いて、友人を招いてティータイム。
普段より一層おしゃべりに花が咲きそうですね。

 

グリーンカーテンのある角部屋のベランダです。
休みの日には、のんびりとバルコニーで朝食というのはいかがでしょうか。自宅でリゾート気分を味わえそうです。

 

白地のウッドタイルを敷いたベランダ。
黒いロッキングチェアを合わせてシンプルですっきりとした印象になりました。夏には、ミントをたっぷり入れたモヒートを用意して、読書を楽しめば暑さも忘れそうですね。

 

スロップシンクの付いたベランダは鉢植えなどを置いても世話をしやすいですね。ビーチチェアに寝転んでいると心地よい風についウトウトしてしまいそうです。

 

さて、様々なベランダのコーディネート例を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?共用部分としていろいろな制約があるベランダですが、ルールさえ守れば事例のように魅力的な使い方ができます。ベランダやバルコニーを上手に利用して、あなたもぜひワンランク上のマンションライフを楽しんでください。