結婚したり、子供が生まれたり、ライフステージが変わることで住んでいるマンションが手狭になり、住み替えの必要が出てくる場合があります。そんなとき、今のマンションを売るにはどうすればいいのか、住宅ローンの支払はどうなるのかなど、考えなくてはならないことがいくつかあります。
そこで今回は、マンション住み替えに失敗しないために知っておきたい、住み替えの手順とお金についての疑問にお答えしたいと思います。

マンションを住み替える3つのパターン

「購入」と「売却」をどのタイミングで行うかにより、マンションの住み替えは3つのパターンに分かれます。パターンごとにかかる費用が変わるため、それぞれの特徴について知っておきましょう。

「購入」と「売却」を同時に進行

購入と売却を同時に進行するパターンでは、住み替えのために購入するマンションを決めてから、現在住んでいるマンションの売却と新しいマンションの購入を同時に行います。仮住まいに引っ越したり、借りたりする負担がなくなります。ただし、購入と売却のタイミングがちょうどよく重なるとは限らず、実現が難しいパターンです。

「売却」してから「購入」

現在住んでいるマンションを売却してから、新しいマンションを購入するパターンです。マンションがいくらで売れたのか既に分かっているため、資金計画を立てやすいというメリットがあります。また、売り交渉することが可能です。
一方、次のマンションに住むまで仮住まいをしなくてはならず、引っ越し費用(現在住んでいるマンションから仮住まい、仮住まいから新しいマンションへの2回分)や仮住まいの家賃がかかります。

「購入」してから「売却」

新しいマンションを先に購入してから、現在住んでいるマンションを売却するパターンです。他のパターンと比較して、いい物件が見つかるまで、購入にかける時間を長く取ることができます。また、仮住まいのコストが必要ありません。しかし、売却するまで住宅ローンを二重に返済する可能性があることに注意が必要です。

マンションの住み替えに向いているタイミング

マンションの住み替えに向いているタイミングはあるのでしょうか。住み替えたくなったとき、住み替える必要が生じたときはもちろんですが、実は、住宅ローンやマンションの修繕費を考慮すると、住み替えに適したタイミングがあるのです。ここでは特にお金の面から考えたマンションの住み替えに向いているタイミングについて説明します。

住宅ローン控除を考慮すると購入後10年以降

住宅ローン控除とは、自宅用のマンションを購入してから10年間、ローン残高の一定割合が税額控除される制度です。この制度を最大限利用するために、住み替えのタイミングを購入してから10年後以降とするのがひとつの目安です。

修繕積立金が増額される前に

一般的にマンションは、10年から15年ごとに建物を維持管理するために大規模修繕工事を行います。それに備えて、多くのマンションでは、オーナーから修繕積立金として一定額を徴収し、積み立てを行っています。築年数の古いマンションになると、修繕工事の範囲が多くなるため、修繕積立金が高くなる傾向にあります。そのため、修繕積立金が増額される前のタイミングで、住み替えを検討するのもよいでしょう。

マンションを住み替えるときの手順

1章で説明した通り、マンションを住み替えるときの手順は、売却と購入をどのタイミングで行うかにより変わってきます。ここでは、売却・購入それぞれの手順をご説明します。

マンションを売却するときの手順

マンションを売却するときの手順は、以下の通りです。

  1. マンションの査定
  2. 売り出し価格決定
  3. 媒介契約を結ぶ
  4. 販売活動
  5. 売買契約を結ぶ
  6. 引渡し
1.マンションの査定

マンションの査定とは、仲介会社が客観的なデータに基づき、専門的な視点で「売れる価格」を算出することです。査定は何社に依頼しても構いません。相場がわかるので、複数の仲介会社から査定価格を出してもらうとよいでしょう。

2.マンションの売り出し価格決定

お客さまの希望価格と査定価格をもとに、お客さまと仲介会社が相談して売り出し価格を決定します。

3.媒介契約を結ぶ

不動産の売買は個人で行うこともできますが、個人で買い主を探さなければならず、また、万が一の買い主とのトラブルに備えて法的な知識も必要など、あまり現実的ではないでしょう。そのため、マンションを売る際には仲介会社に依頼するのが一般的です。仲介会社に不動産の売却を依頼するときは「媒介契約」という、不動産の売り方や報酬についてのルールを取り決めた契約を結ぶことになります。

4.売却活動

不動産流通機構が運営する指定流通機構(レインズ)に登録、不動産サイトへ登録、チラシの配布など、物件の売却活動を行います。購入検討者には、実際にマンションを内覧してもらい、価格や支払い条件などを具体的に決めていきます。

5.売買契約を結ぶ

価格や支払い条件にお互い合意したら、売買契約を結びます。一度契約を締結すると簡単に解除することができないので、契約前に契約内容をしっかりと確認しましょう。

6.引渡し

売買契約を結んだら、売却代金を決済し、管理費などを清算してから、物件を引渡します。

購入するときの手順

マンションを購入するときは、以下の手順で行います。

  1. 購入検討
  2. 売買契約・ローン契約を結ぶ
  3. 物件の引渡し
1.購入検討

売却するマンションの査定価格や販売価格、現在の住宅ローン残高から、無理のない金額であることを考慮のうえ購入するマンションの予算を決め、物件を探します。よい物件があったらローンの事前審査も行っておきましょう。

2.売買契約・ローン契約を結ぶ

希望の物件が見つかり、購入条件に合意したら売買契約を結び、その後、金融機関と住宅ローンの契約を締結します。

3.物件の引渡し

住宅ローンによる融資が実行されたら、物件の引渡しを行います。

住み替えパターンで手順が変わる

マンションの住み替えには、上で説明した通り、「購入・売却を同時進行」、「売却してから購入」、「購入してから売却」の3つのパターンがあります。住み替えパターンにより手順は変わります。

同時進行タイプ

先行売却タイプ

先行購入タイプ

マンションの住み替えを失敗しないために知っておきたいお金の基本

ここでは、マンションの住み替えにかかるお金の基本事項についてまとめています。

住み替えにかかる費用

マンションの住み替えをするには、新たなマンションの購入代金のほかにも必要になる費用があるので注意してください。主な費用は以下の通りです。

今のマンションを売却するためにかかる主な費用

マンションを売却する場合、主に以下の費用がかかります。

  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 司法書士費用
  • 登録免許税
  • 返済手数料(住宅ローンを利用している場合)

例えば、住宅ローン残債2,300万円の自宅マンションを2,800万円で売却した場合の主な費用の目安は以下のようになります。

費用 目安
印紙税 1万円(軽減税率適用)
(売買契約書に記載された契約金額が1,000万円超5,000万円以下:2020年3月31日までに作成される契約書の場合)
仲介手数料 97.2万円
(売買価格の3%+6万円+消費税)
司法書士費用 約3万円
(司法書士により異なる)
登録免許税 3千円
(住み替えの場合)
一括返済金額 2,300万円
一括返済手数料 5千円~2万円程度
(銀行や手続き方法により異なる)
費用合計 約2,400万円
手元に残るお金 約400万円
新たにマンションを購入するためにかかる主な費用

マンションを購入したときにかかる主な費用の目安は以下のとおりです。

  • 新築マンション 物件価格の3%~7%
  • 中古マンション 物件価格の6%~13%

一般的に中古物件では、仲介手数料がかかるため、費用が多くかかります。

例えば、3,000万円で新築マンションを購入した場合は、費用の目安は、90万円~210万円となります。

費用 目安
印紙税① 3.5万円(売買契約書に記載された契約金額が1,000万円超5,000万円以下:2020年3月31日までに作成される契約書の場合)
印紙税② 2万円(住宅ローン契約書の契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合:2020年3月31日までに作成される契約書の場合)
登録免許税 5.6万円
所有権保存登記 固定資産税評価額 × 0.15%
住宅ローン抵当権設定登記 借入金額 × 0.1%
※2020年3月31日までの登記に適用
司法書士報酬 約10万円
(司法書士により異なる)
固定資産税 固定資産税評価額 × 1.4%
(市町村により異なる)
都市計画税 固定資産税評価額 × 0.3%
(市町村により異なる)
不動産取得税 (住宅の固定資産税評価額 - 控除額)× 税率3%
住宅ローンにかかる費用 約75万円(銀行により異なる)
引越し代 約20万円
インテリア・家具・家電など 約70万円

なお、税率は軽減措置などにより変わることがあります。不動産の売買に関わる税金の詳細は以下のページをご確認ください。

https://lions-mansion.jp/guide/tax/t01/

マンションの売却価格の決め方

マンションの売り出し価格は、査定価格や売り出し価格の相場、取引価格の相場などを考慮して決めましょう。売り出し価格が相場よりも高ければ売れ残るリスクがあり、安ければ損をする可能性があります。
早く売りたい場合は相場より安く価格を設定し、逆にローンの返済などの事情で希望の価格がある場合は、売却期間が長引く可能性があっても、相場より高い価格を設定する必要があるかもしれません。
売り出し価格は、信頼できる仲介会社の意見や相場価格を参考にして決めるのがオススメです。

減税措置について

マンションを売買すると税金が課せられますが、減税措置を利用できる場合があります。代表的なものは以下の通りです。

譲渡所得の特別控除

土地建物を売ったときの譲渡所得の金額の計算上、特例として特別控除が受けられる場合があります。

譲渡損失の損益通算及び繰越控除

不動産を売却し損失が出た場合に、その損失をその年の所得から差し引ける場合があります。

住宅ローン減税

住宅ローンの残高または住宅の取得対価のいずれかに対し、10年間所得税の額から控除されます。

詳しくは、税理士、ファイナンシャルプランナー、不動産会社などに問い合わせてみましょう。

住み替え時に住宅ローンはどうするか

マンションの買い替えをする場合、残ったローンは今のマンションを売却したお金で一括返済し、次のマンションを買う場合が多いです。一括返済できない場合でも、「住み替えローン(買い替えローン)」などを利用して住み替える方もいます。住み替えローンでは、「現在のローンの残債」と「新しい家の購入資金」をまとめて融資してくれます。

マンション住み替えサポート

グループ会社 大京穴吹不動産では、大京が取り扱う新築物件への住み替えを検討している方に「買い替え特約プラン」や「複数の買い取りプラン」をご用意し、グループ会社全体でお客様をサポートしています。

買い替え特約プラン

まず、「市場動向価格(概ね3ヶ月以内に、70%程度成約できる価格)」をご提示します。その価格を参考に、お客様の希望売り出し価格が決まれば、その価格で売却活動を行います。期限内に希望価格の下限額でも成約できなかった場合、住み替え先の物件の契約を解除することができます。

お客様のニーズに合わせた複数の買い取りプラン

買い取り保障プランなど、お客様のニーズに合わせた複数のマンション買い取りプランをご用意しています。

買い取り保障プラン

グループ会社が、マンション買い取りの保障をするプランです。事前に「市場動向価格」と「買い取り保障金額」を提示した後、お客様の希望売り出し価格で売却活動を行います。その金額で成約に至らなかった場合でも、「買い取り保障金額」で買い取りを行います。

即時買い取りプラン

グループ会社が、お客様のマンションを即時買い取ってくれるプランです。売却活動をしなくても住んでいるマンションをすぐに売却することができるので、住み替え先のマンションを早く購入したい場合に便利です。

買い取り賃貸住居プラン

最長5年まで、売却したマンションに賃貸として住み続けられるプランです。住み替え先のマンションが決まっていても、お子様の学校などの都合でしばらくそのまま住んでいたいときなどに利用すると便利です。

買取プランについて詳しく知りたい方はこちら:住まいの買い替えNavi 5つの買い替えプラン

今回は、マンションの住み替えを失敗しないために、知っておきたい住み替えの手順やお金の知識について整理しました。マンションを住み替えるには、売却や購入の際に大きな金額が動くほか、(必要に応じて)仮住まいを準備するなど、やり慣れていないことをすることになります。そのため、住み替えを失敗しないために必要な知識を事前に得ておくことが大切です。ここでは、基本的な事項のみを紹介しているため、より詳しいことを知りたい方は不動産会社など専門家にご相談することをオススメします。

文中で説明したとおり、グループ会社 大京穴吹不動産では、マンションの住み替えをサポートするサービスを提供しています。サービスの詳細は関連リンクからご確認ください。