写真左:当社EV充電導入担当 三木優子
写真右:マンションギャラリー・建設現場の再生可能エネルギー活用担当 高橋愛莉

わたしたちがいま暮らしている地球は、わたしたちだけのものではありません。今、地球上に暮らしている人間以外のさまざまな動物や植物などの生き物たちのものでもあり、これから生まれてくる未来の世代の生き物たちのものでもあるのです。

多くの生き物たちにとって大切な地球環境を永続的に続いていくものにするために、わたしたちは暮らし方を見つめなおし、新たな社会の仕組みを作り上げなくてはなりません。今やこのような取り組みは、政府だけでなく企業や個人にも求められるようになっているのです。

大京においては、地球環境に優しい住まいづくりを積極的に推進し、快適で健康な暮らしと低炭素社会の実現を目指し、さまざまな取り組みを行っています。

今回はその中でも、全駐車区画※1で電気自動車(EV)充電を可能にした取り組みと、マンションギャラリーと建設現場における再生可能エネルギー活用に関する取り組みについて、開発に携わった担当者の話を交えて、ご紹介したいと思います。

※1 空配管の対応を含む

全駐車区画でEV充電を可能に

充電コンセント付き駐車場のイメージ

充電コンセント付き駐車場:イメージ

大京はこれまでも、駐車区画数の10%程度にEV充電コンセントを標準設置し、電気自動車等を所有するお客さまのニーズに応えてきました。しかし、電気⾃動⾞を取り巻く環境が急激に変化している昨今では、そのニーズがさらに高まっています。

そこで大京では、マンションの標準仕様として、EV充電コンセントを全区画の50%に設置、残りの50%には将来的にEV充電コンセントの増設が可能な空配管を設置することを決定しました。

この件について「全駐車区画でのEV充電対応」の導入を担当した三木さんに話を聞きました。

マンションに求められるEV充電コンセントの拡充

菅前首相は、2021年の通常国会施政方針演説にて、カーボンニュートラル※2の取り組みの一つとして「2035年までに新⾞販売で電動⾞100%を実現する」との目標を表明しました。現在、日本では、その目標達成に向かい官民一体となって具体策を推し進めています。

今回、大京が決定した「全駐車区画でEV充電を可能」とする計画も、このような世の中の流れをうけたものになります。

※2 カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること

開発には先駆者ならではの苦労も

今回の開発は、競合他社に先駆けた業界初の試みであったため事例がなく、思いもよらぬ苦労も経験しました。

駐車場にEV充電コンセントを設置するのは、それほど難しくないのですが、EV充電コンセントまでどのように電気を送るのかという点で課題がありました。なぜかというと、一般的なマンションで採用されている「低圧電力」では、契約電力の上限が決められているため、設置できるEV充電コンセントの数に限りがあったのです。従来の標準仕様である設置率10%では、上限には達することがなく、問題にはならなかったのですが、今回設置率を50%に引き上げて多くのEV充電コンセントが設置できるように、受電方法も併せて検討することになりました。

電力会社との契約を、工場や商業施設などと同じ「高圧電力」にすれば、大容量の電力を受電することができますが、そうすると受電設備の設置にかかる初期費用や法定点検にかかるランニングコストが上がってしまいます。費用の増加は、お客さまの経済的負担にもつながってしまい避けたいところです。

EV充電サービス会社や電力会社等、さまざまな協力会社の方と何度も打ち合わせをし、解決策を考えました。新しい標準化の方針が決まってから半年以上時間を費やし、最終的には物件の規模や設置したいEV充電コンセントの数などにあわせて、最適な受電方法を選択するスキームを構築することができました。

電力会社との契約などこれまで詳しく知らなかったことが多く苦労しました。しかし、先駆者として道を切り開いて業界を先導していくことが、日本のサステナブル社会の実現につながる大きなスケールの仕事だと思うと、やりがいを持ちながら取り組むことができました。

新しいEV充電コンセントの標準仕様化は、これから建築される物件が対象となるため、お客さまに実際に利用していただくのは少し先の話になりますが、その日が来るのがとても楽しみです。

マンションギャラリーと建設現場で再生可能エネルギーを活用

ライオンズ青砥レジデンスのイメージ

ライオンズ青砥レジデンス:分譲済

大京では2021年12月からZEH-M(ゼッチマンション)※3を標準化し、これまでも地球環境に配慮した住まいづくりを推進してきました。

さらなる取り組みとして、大京の本社ビル、マンションギャラリー、建設現場で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えました。この取り組みにより、販売する物件だけでなく、その建築プロセスや企業活動においても脱炭素化を積極的に行っています。

この件について「マンションギャラリーと建設現場における再生可能エネルギー活用」を担当した高橋さんに話を聞きました。

※3 ZEH-M(ゼッチマンション):外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味でゼロとすることを目指した住宅。

事業活動に関係するあらゆる二酸化炭素の排出量削減が企業に求められてきている

地球温暖化の原因と言われている温室効果ガスを、事業者自らの排出量だけでなく、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の事業活動の流れ全体から発生する排出量まで把握し削減していく考えが、グローバル企業を中心に広がりつつあります。

マンションデベロッパーである大京に置き換えてみると、マンションという商品をつくる建設現場から、販売を行うマンションギャラリー、経営活動の拠点である本社ビル、マンションの使用時までの一連の流れ全体で脱炭素化の取り組みを推進していかなくてはなりません。

電力市場の変化が著しい中での再エネ電源の確保が課題だった

昨今の世界情勢による電力市場の変化などが原因で、電力供給を予定していた電力会社のエネルギーの仕入れが不安定となり、契約条件のすり合わせに時間がかかるなど大変な経験もしました。

しかし、会社全体の環境問題への取り組み意識は高く、実施において社内の他部署から積極的な協力を受けることができ、スムーズに仕事を進めることができました。

サステナブル社会の実現のために大京だからこそできること

大京では、以下の四つの重点キーワードをテーマに、サステナブル社会の実現に向け物件や商品の開発を行っています。

  • 脱炭素化
  • 環境配慮
  • 安全・安心・快適性
  • 地域共生

今回ご紹介した「全駐車区画でのEV充電対応」や「マンションギャラリーと建設現場における再生可能エネルギー活用」も、これらのテーマに基づいて行われた取り組みであり、先に述べたZEH-Mの標準化も同様です。

大京は、お客さまの暮らしの場であるマンションという商品を販売している企業です。そして半世紀にわたり日本で一番多くのマンションを供給してきました。※4

お客さまの暮らしと非常に密接な関わりを持つことができるという特徴を生かし、大京でしかできない「サステナブル社会の実現への取り組み」に今後も邁進していきたいと思います。

※4 全国の事業主別累計供給戸数ランキングで大京は第1位(各社事業開始から2021年までの累計戸数)/(株)不動産経済研究所調べのデータを基に算出。