住宅ローンの返済中に機会をとらえて行いたいのが「繰上返済」です。住宅ローンは借りっぱなしではなく、状況に応じて見直すことが大切です。ここでは、支払利息の削減効果が大きい繰上返済の方法などについて解説していきます。
「繰上返済」とは、住宅ローンを返済している期間に、まとまった資金を使って、ローンの残額を一気に減らすことです。元金が少なくなるだけでなく、利息を大きく削減する効果があります。
繰上返済の2つの方法
「繰上返済」の方法には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあり、それぞれメリットが異なります。「期間短縮型」はその名のとおり返済期間を短縮します。利息の削減効果が高く、また返済期間が短くなって住宅ローンの完済が早まるのが特徴です。
期間短縮型(元利均等返済方式)
いっぽうの「返済額軽減型」は、毎月の返済額を軽減する方法です。期間短縮型と違い、毎月の返済額が軽くなるのが最大のメリットです。
返済額軽減型(元利均等返済方式)
「期間短縮型」と「返済額軽減型」を比較する
ローン残高が3,200万円、残りの返済期間が30年のときに約100万円の繰上返済をした場合の効果を比較してみましょう。
その他の条件は、金利2.0%、元利均等返済方式です。
種類 | 繰上返済額 | 短縮期間/軽減金額 | 利息削減効果 |
---|---|---|---|
期間短縮型 | 1,052,205円 | 短縮期間 1年4か月 |
840,242円 |
返済額軽減型 | 1,000,000円 | 毎月返済額の軽減金額 3,696円 |
330,656円 |
※繰上返済手数料等は考慮していない。
利息削減額だけみると、「期間短縮型」のほうがメリットがあるようにみえます。
現在の毎月返済額でも家計に余裕のある人なら、返済期間が短くなる「期間短縮型」を利用するといいでしょう。しかし、子どもの教育費の増加などで、毎月返済額に負担を感じている場合は、「返済額軽減型」が効果的です。
どちらを利用するかは、そのときの家計の状況によって異なります。
期間短縮型
- 返済額軽減型と比べて、利息削減効果が大きい。
- 住宅ローンの完済時期が早まるので老後の資金計画が立てやすい。
返済額軽減型
- 毎月の返済額を軽減でき、効果を実感しやすい。
- 月々家計に余裕が生まれる分を教育費などに充てられる。
繰上返済は、早い時期に行えば行うほど利息削減効果が高いため、できるだけ早いタイミングに行うのが理想です。
繰上返済ができる金額については、フラット35では、窓口で手続きをする場合、1回あたり100万円以上と決められています。ただし、インターネット「住・My Note」を利用する場合は10万円以上となります。民間金融機関の独自ローンでは、1万円以上など、少額から繰上返済できるケースが多くなっています。
また、繰上返済の手数料については、フラット35は手続きを窓口で行ってもインターネットで行っても無料。民間の金融機関独自ローンは、金融期間によってさまざまです。ただ、最近は、手続きを窓口では行わず、インターネットで行えば無料とするところが増えてきました。
住宅ローン選びの際には、「繰上返済がしやすいかどうか」という視点でも検討するとよいでしょう。