住宅ローンを選ぶときには、金利タイプや適用金利にだけ目が向きがちですが、それら以外にも大切なポイントがあります。毎月の返済額だけでなく、融資事務手数料やローン保証料、団体信用生命保険の保険料などのコスト負担も含めて検討する必要があります。
融資事務手数料
融資事務手数料とは、金融機関から住宅ローンを借りるときに支払う手数料です。
手数料の形態は、金融機関によって、定額型と定率型の2種類があります。
定額型は借入金額に関わらず金額が一定です。いっぽう、定率型は借入金額に対する一定比率です。したがって、借入金額が大きくなればなるほど、手数料の金額も大きくなります。
融資事務手数料の例
融資手数料の形態 | 金額(消費税等別) |
---|---|
定額型 | 30,000円 40,000円 50,000円 100,000円 など |
定率型 | 融資金額×1.0% 融資金額×2.0% 融資金額×3.0% など |
たとえば、3,500万円の借り入れをする場合、定額型の住宅ローンで融資事務手数料が30,000円(消費税等別)の金融機関と、定率型の住宅ローンで融資事務手数料が「融資金額×2.0%=700,000円(消費税等別)」の金融機関では、負担が大きく異なります。
なお、最初に融資事務手数料が低い分、定額型の住宅ローンのほうが定率型よりも金利が高く設定されている傾向があります。
そのため、金利だけに目を向けるのではなく、融資事務手数料も含めた比較が大切です。
ローン保証料
保証料とは、住宅ローンを借りるときに、保証人を用意する代わりに保証会社に保証人になってもらうための手数料です。
ローン契約者の返済が、万が一、一定期間滞ってしまったような場合には、保証会社が代わりに金融機関に支払いをしてくれます。ただし、契約者は返済を免れることができるわけではありません。
保証料の計算方法は、金融機関によって異なります。また、借入金額や返済期間によっても異なります。おおよその目安として
借入金 1,000万円あたり 約20万円 (35年返済の場合)
くらいだと考えておけばよいでしょう。
たとえば、3,500万円の借り入れをする場合、保証料は約70万円になります。負担する金額としては無視できない金額です。
なお、近年は、住宅ローン商品の差別化をはかるために、保証料を不要とする金融機関もでてきています。
ちなみに、全期間固定タイプの代表格の住宅ローン「フラット35」は、保証料がかかりません。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険(通称:団信)は、住宅ローンを返済中の契約者が、死亡、もしくは身体障害状態になった場合に、残ったローンを清算するために加入する生命保険です。
この保険に加入しておけば、残された遺族はローン返済を免れ、引き続きマイホームに住み続けることができます。
団体信用生命保険の加入義務と保険料
住宅ローンの種類 | 加入義務 | 保険料の目安 |
---|---|---|
民間銀行のローン (無料) |
基本的に強制加入 | 基本的に銀行が負担 |
フラット35 (住宅金融支援機構) |
加入は任意 | 月々のフラット35の返済金に団信加入に必要な費用が含まれます。 |
民間銀行のローンの場合は、一般的には団体信用生命保険に加入しなければローンを借りることができません。ただし、保険料を負担するのは銀行です。ローン契約者が保険料を支払う必要がありません。
いっぽう、フラット35については、加入が任意となっています。そして、加入する場合には、月々の返済金に団信加入に必要な費用が含まれます。
健康上の理由、その他の事情で団信にご加入されない場合は、新機構団信付きフラット35の借入金利から0.2%引き下げた金利が適用されされます。
※「団体信用生命保険」は生命保険です。したがって、一般の生命保険と同じように健康状態の告知や診査が必要です。既往症などがある場合には、ローンが組めない場合があります。
繰上返済のしやすさ
返済中に、まとまったお金で元金の一部を減らす繰上返済は、将来支払う利息を大きく削減することができます。ゆとりのお金で繰上返済をしようと考えている場合は、住宅ローンを選ぶときに、繰上返済の条件(1回あたりの最低返済額、手数料等)も確認しておいたほうがいいでしょう。
最近では、金融機関によって手数料を無料にしているところもあります。また、手続きを窓口経由でなく、インターネットで行う場合に無料としている金融機関もあります。