住宅を買うときに、住宅ローンの基本的な知識を持って納得づくで決めるか、あるいは何となく決めてしまうかで、返済期間中の暮らし方が異なります。一言で住宅ローンといっても、借入金額、返済期間、適用金利によって、返済額は大きく違ってきます。また、金利にもさまざまなタイプがあり、どのタイプを選ぶかはとても大切です。

住宅ローンを選ぶ前に、まず、しっかりと理解しておきたいのは「金利タイプ」です。 金利タイプにはおもに3つの種類があります。それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがあります。

おもな金利タイプの種類と特徴
金利タイプ 全期間固定タイプ 変動タイプ 固定金利選択タイプ
概要

全返済期間の金利が最初に決まっているタイプ

金融情勢の変化に伴い、返済途中に金利が変動するタイプ

「当初3年間は○%」など、返済期間中の一定期間のみの金利が固定されるタイプ

メリット
  • 借入時に返済期間全体の返済額を確定することができるので、生活設計がしやすい。
  • 低金利時に借りると将来にわたって低い金利が適用され、返済額も低く固定することができる。
  • 高金利時に借りると、将来の金利の低下にあわせて返済額が下がる。
  • 借入当初の金利は低い。
  • 一定期間の返済額を固定することができる。
  • 固定金利期間が終了すると、その時の金利情勢やライププランに応じて金利タイプの選択ができる。
デメリット
  • 他のタイプより金利水準が高め。
  • 高金利時に借りると、将来にわたって高い金利が適用され、高い返済額が固定される。
  • 借入時に将来の返済額が確定せず、生活設計がしにくい。
  • 低金利時代に借りて、将来金利が上昇すると、返済額が増えてしまう。
  • 借入時に固定金利期間終了後の返済額が確定せず、生活設計がしにくい。
  • 低金利時代に借りて、将来金利が上昇すると、返済額が増えてしまう。
その他
  • 長期金利(10年満期の国債の利回り)に連動。
  • 日本銀行の政策金利に連動。
  • 一般的に、半年に一度(4月、10月)見直され、政策金利の変動に応じて7月、1月から適用金利が変わる。
  • 5年間は返済額は変わらない(その間に金利が変動すると、返済額のうちの利息部分と元金部分の割合が変化)
  • 返済額アップの上限は、1.25倍までが一般的(※元利均等返済のみ)
  • 固定期間の金利は円金利スワップレート(固定金利と変動金利を交換取引する際のレート)に連動。
  • 固定期間終了時に、次回の金利タイプを選択。その時点の金利が適用され、返済額も変わる。

「全期間固定タイプ」の代表格は「フラット35」(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して販売している住宅ローン)。その他には、民間銀行の一部が取り扱いをしています。このタイプの最大の特徴は、借入時の適用金利が返済期間の間、ずっと変わらないことです。

これに対して、返済期間中に金利に見直しがかかるのが、「変動タイプ」と「固定金利選択タイプ」。多くの銀行が優遇金利を設けて積極的に販売しているのがこのタイプです。

それぞれメリット・デメリットがある3つのタイプのなかから、どれが自分の生活や家計に合っているかを見極める必要があります。 
住宅ローンを借りる場合、一般的に金利が最も低いのは変動タイプです。次いで固定金利選択タイプ(固定金利期間が短いものほど、金利が低く設定されます)、そして金利が最も高いのが全期間固定タイプです。つまり、金利は、固定される期間が長いほど高くなります。反対に、金利変動リスクが最も高く、将来の金利変動に伴って返済額が変わる可能性が高いのが変動タイプ、次いで固定金利選択タイプとなります。全期間固定タイプは、金利変動の影響を受けません。