グッドデザイン賞受賞

2022年/複合施設(分譲集合住宅)

金澤雅壇(ライオンズ金沢武蔵)

ライオンズ金沢武蔵 外観

金澤雅壇(ライオンズ金沢武蔵)外観写真(2022年5月撮影)2021年9月竣工(分譲済)

ライオンズ金沢武蔵

金澤雅壇(ライオンズ金沢武蔵)

ライオンズ金沢武蔵

上段左:エントランスホール、上段右:ラウンジ、下段左:アプローチ、下段中:ラウンジ、下段右:内庭

コンセプト

金沢駅武蔵南地区における市街地再開発事業です。金沢の都市・歴史軸の交点に位置する立地に、まちづくりの基本理念を共有し、歴史的資源の再生と保存、近代的都市空間を官民連携により一体的に整備しました。地域の歴史文化を継承する複合建築物の建設、および住民や市民、来訪者をゆるやかにつなぐ多様な居場所の創出を行いました。

用水路 塀を設けない敷地境界

歩道 敷地境界の用水路と歩道空間

主な特徴

  1. 「歴史都市金沢のまちづくり」の理念を共有した、官民連携による緑豊かな歩行空間の整備と歴史的空間の再生
  2. 官民一体で推進したシームレスな敷際のデザインにより生まれた、多様な人々が利用する多彩な居場所
  3. 金沢の街並みや社寺建築をモチーフとして構成した、街の歴史・文化を継承するデザイン

緑豊かな歩行空間と人々の多彩な居場所

エントランスホール

企画・開発の背景

金沢市は非戦災都市であることから、藩政期からの都市構造を後世に残しながら継続的な発展を行うために「保存と開発の調和」によるまちづくりが実施されています。当地区の再生に向けた動きは、昭和51年から幾重にもわたり議論されてきましたが、地権者の気運醸成に至ることが無いまま、建物の老朽化や未利用地が混在する土地利用状況により、防災・防犯面の不安や地区内の活力低下が課題となっていました。
そうした中で、北陸新幹線の開業を契機に当地区周辺の交流人口が増加したことから、歴史保存やパブリックスペースの確保等、当地区再生の重要性の高まりを受け、当地区の市街地再開発事業と金沢市による金沢城西外惣構升形遺構復元、用水路の修景整備及び無電柱化が同時期に施行されることとなり、本来別々で行われるはずであった事業を、金沢市と協議を重ね官民連携による一体開発として推進し、歴史的資源と新たな開発が調和する都市空間の整備が実現しました。

金沢駅武蔵南地区周辺航空写真

審査委員の評価

都市の歴史や景観の継続性を担保することがなかなかに難しい市街地再開発事業でありながら、官民が効果的に連携することで、金沢の文化や風景を受け継ぎ、その境界を感じさせない一体的な空間整備を実現できた好例である。隣接して位置する歴史遺構の復元や、官民境界を跨いでの舗装デザインの一体化、アーケードの張り出しなどは、言うは易しで、官民エリア毎の工事分離発注となるケースも多く、それぞれの予算に合わせた素材選定や、工事スケジュールの調整など、かなりハードルが高い。さらに、遺構保存に関しては、文化財関係の官公庁や部署も加わり、手続きも煩雑で時間もかかることから、本事業のプロジェクトマネジメントは、相当高度な調整が図られたものと想像する。金沢の歴史や風景に配慮した丁寧な建築デザインも含めて、深く敬意を表したい。

物件概要

物件名
金沢駅武蔵南地区第一種市街地再開発事業 金澤雅壇 ーライオンズ金沢武蔵ー
所在地
石川県金沢市安江町302番(地番)
交通
JR北陸新幹線、JR北陸本線、北陸鉄道浅野川線「金沢」駅徒歩8分
敷地面積
2,354.13m2
建築面積
1,720.58m2
延床面積
17,969.38m2
構造・階数
鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上18階建て
総戸数
140戸(住戸138戸、店舗2戸)
事業主
金沢駅武蔵南地区市街地再開発組合
設計・監理
株式会社アール・アイ・エー
施工
株式会社熊谷組
着工
2019年7月16日
竣工
2021年9月22日
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