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  4. 【マンション購入のためのお金の話】 1.ライフプランを基に、いくらの家を買うか。

マンション購入のためのお金の話

住宅を購入するときには、住宅価格のほかにもさまざまな費用がかかります。この章では、自己資金の目安や諸経費の種類、住宅ローンの借入額を検討する際の考え方、親からの援助の受け方など、資金計画の基本的な立て方をご紹介します。

1.ライフプランを基に、いくらの家を買うか。

マンションの購入を決める前には、立地や周囲の環境を確認し、いろいろなモデルルームを見学しながら、将来実現したい理想の生活像を思い描いて、好みに合った住空間や設備を探っていきます。
そして、一方では、現在と将来の家計の状況を踏まえ、子どもの教育費や夫婦の老後の生活資金に支障をきたさずに住宅ローンの返済が行える予算を考えます。

ここでは、将来に渡って無理なく返済していける「マンションの価格」はいくらなのか、個々の家庭でどのように考えたらいいのかを解説します。

返済負担率から考える住宅の購入予算

「買えるマンション」の判断基準のひとつは、現在の年収です。
ここでいう年収は、手取り額ではなく、税金や社会保険料を差し引く前の額面金額です。すぐに正確な金額がわからない場合は、毎年1月に会社から受け取る「源泉徴収票」をみると年収がわかります。

年収が750万円で住宅ローンを組むAさんの例を挙げてみましょう。1年間の返済金額の割合(返済負担率)を仮に年収の25%と設定すると187万5,000円となり、毎月の返済額に換算して約15万6,000円になります。返済負担率を20%とすると年間返済額は150万円なので、毎月返済額は12万5,000円。毎月の返済額が無理のない範囲かどうかを考えて借入額を設定したほうがよいでしょう。

一方、住宅ローンを取り扱う金融機関は、融資額に収入基準を設けています。金融機関によって基準は異なりますが、次のような返済負担率を融資額の上限に定めています。

年収 400万円
未満
400万円
以上
返済
負担率
30% 35%

(「フラット35」の場合)

つまり、例えばマンションを購入しようとする人の年収が750万円だとすると、年間返済額がその35%にあたる262万5,000円に収まる範囲で融資してくれるわけです。これを毎月返済額にすると約21万9,000円になります。金融機関は、毎月返済額がこれを超えるような融資はしてくれません。

なお、返済負担率は、住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンなど、その他のローンも含めて計算されます。たとえば、年収に対する返済負担率から、毎月返済額が20万円までの借り入れができるとしても、すでに毎月5万円の自動車ローンの返済がある場合には、住宅ローンで借りられる金額は、毎月返済額15万円までの範囲になってしまいます。

したがって、住宅ローンで制約を受けないためには、できるだけ事前にその他のローンを整理しておいたほうがよいことになります。

また、ここで注意すべきことは、将来子どもが生まれたり、子どもの成長に伴ってかかる教育費などにも配慮して、これだけの金額を30年間、35年間と返済していけるのかということです。金融機関の基準を満たしているからといって上限ギリギリまで融資を受けると、のちの生活を圧迫しないとも限りません。

特に、マンションの場合は、ローン返済のほかに、修繕積立金や管理費などを支払う必要があります。修繕積立金や管理費は、マンションの専有面積や共用施設などによって異なりますが、一般的には3万円前後です。

たとえば、年収750万円の20%を年間返済額とする場合、毎月返済額は12万5000円。これに管理費等3万円を加えると、毎月の負担は合計15万5,000円になります。

一戸建ての場合、修繕の費用は個人の裁量によって変わります。メンテナンスの頻度によって変わるため一概にはいえませんが、定期的に修繕は必要になってきますので、各個人で計画的に用意する必要があります。

自分の現在の家計をもとに、次項の「住宅ローン借入可能額」早見表を参照して、「住宅ローンの借入可能額」を算出してみてください。
算出した借入可能額に、頭金(自己資金)を加えた金額が、現実的な「買えるマンションの値段」です。なお、購入には別途諸費用がかかりますので、その点も考慮が必要です。

住宅ローンの借入可能額は?

住宅購入予算を決めるときには、現在の家計の状況をしっかりと見つめ、その上で将来の家計の変動要因も見極めたのちに、「これから30年以上の長期に渡って毎月返済を続けることができる金額はいくらか?」を決めることがポイントです。

多くの人は、気に入った物件を決めたのちにあわてて返済方法を考えますが、この方法は、さきに返済金額を決めて住宅購入予算の枠組みを作ったあと、設定した予算の範囲で購入できる物件を探すというやリ方です。考え方のプロセスとしては逆になります。

長期に渡って毎月返済できる金額を決めることは、遠い将来を見通さなければならないために、とても難しいことです。しかし、現在の家計の中に参考になる金額があります。それは、「現在の家賃」です。
いま賃貸住宅に住んでいる方は、毎月家賃を負担しながら、生活しているはずです。住宅を取得してローンの返済が始まっても、返済額が家賃とほとんど同額であれば、購入前と購入後で収支に大きな変化はありません。

下の表をみると、現在の家賃と同一で、いくらまで借入れができるかがわかります。

家賃
(返済額)
住宅ローン借入額(元利均等返済、35年返済)
(月々) 金利1.0% 金利2.0% 金利3.0% 金利4.0%
6万円 2,120万円 1,810万円 1,550万円 1,350万円
7万円 2,470万円 2,110万円 1,810万円 1,580万円
8万円 2,830万円 2,410万円 2,070万円 1,800万円
9万円 3,180万円 2,710万円 2,330万円 2,030万円
10万円 3,540万円 3,010万円 2,590万円 2,250万円
11万円 3,890万円 3,320万円 2,850万円 2,480万円
12万円 4,250万円 3,620万円 3,110万円 2,710万円
13万円 4,600万円 3,920万円 3,370万円 2,930万円
14万円 4,950万円 4,220万円 3,630万円 3,160万円
15万円 5,310万円 4,520万円 3,890万円 3,380万円
16万円 5,660万円 4,830万円 4,150万円 3,610万円
17万円 6,000万円 5,130万円 4,410万円 3,830万円
18万円 6,370万円 5,430万円 4,670万円 4,060万円
19万円 6,730万円 5,730万円 4,930万円 4,290万円
20万円 7,080万円 6,030万円 5,190万円 4,510万円

●10万円未満を切り捨て表記しています。
●計算に際して、管理費・修繕積立金等の負担は考慮していません。
●実際のお借り入れには、一定の条件を満たす必要があります。

上の表からわかる通り、金利が同じときに返済額が1万円増えるだけで、住宅ローン借入額が数百万円も増額されます。
つまり、毎月の返済額をいくらに決めるかで、購入できる住宅の予算は大きく異なるのです。
毎月の返済額の決定は、長期的な家計の目標設定です。「夫婦でお互いに頑張って、マイホームを自分たちの財産にするため一緒に決めた返済額を支払っていこう」という共通認識ができれば、夫婦ともにその後のお金の使い方に優先順位が生まれ、ムダ使いがなくなります。

なお、上の表は、ボーナス返済を考慮していません。
「(年間返済額+ボーナス)÷ 12ヵ月」の金額を毎月の返済額としてください。

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