気になるマンション騒音!ルールを守って快適な生活を!
マンションには多くの人が住んでいます。人が住んでいる以上、生活音として音が出るのは当然のことです。しかし、音に対する感じ方は、人によっても状況によっても変わります。ご近所の音が気になることもあるでしょうし、反対にあなた自身が音で迷惑をかけていないかと不安に思うこともあるでしょう。
そこで今回は、マンションの騒音の原因になる生活音について知っていただくとともに、音でご近所の方に迷惑をかけないような暮らしの工夫をご紹介したいと思います。
- マンションの騒音に関する基礎知識
- 生活音をできるだけ出さないようにする工夫
まずは、騒音に関して
知っておきたい基礎的な知識です。
マンションの騒音に関する基礎知識
音の種類は2種類
音には2つの種類があります。1つは外から聞こえてくる学校のチャイムや子供の声など空気を伝わってくる音、これを「空気音」といいます。もう1つは壁や天井など固体を伝わって聞こえてくる「固体音」です。
屋外からの騒音は「空気音」で、マンションなど建物内の騒音は「空気音」と「固体音」、どちらの場合もあります。
床に関連した音にも2種類あります。子供がベッドから飛び降りた時や、重いものを落とした時に起こるような、ドシン、ガタンという鈍くて低い音は「重量床衝撃音」。これはマンションの床のコンクリートの厚さなどによって伝わる音の大きさが変わります。
また、スリッパで歩き回る音やスプーンなどの軽いものを落とした時に起こるコツン、カランという軽めの高い音は「軽量床衝撃音」と呼ばれています。この音は椅子の足にフェルトを貼ったり、カーペットを敷いたり、音が出る表面を柔らかくすることで軽減できます。
目安にしか過ぎない騒音基準値
さて、一般的に「騒音」とはどれくらいの大きさの音をいうのでしょうか。環境省によって「騒音の環境基準」が定められています。その基準値によると、住宅地の騒音基準は昼間で55デシベル以下、夜間で45デシベル以下となっています。これ以上は騒音ということです。
では、日常的に発生する音は何デシベルなのでしょうか。例えば、洗濯機の音は約64~72デシベルありますし、日常的な人の話し声も約50~61デシベルもあるそうです。そう考えると騒音基準値は厳しい基準に感じますが、これは目安と考えればよいでしょう。なぜなら次で紹介するように、数字だけで判断できないさまざまな要素を音は含んでいるからです。
人によっても状況によっても違う音の感じ方
なぜ、音の問題が数字だけで判断できないかというと、音をどう感じるかの基準が人によって違うからです。例えば夏の風鈴、取り付けた人は涼を呼ぶ音として気に入っていても、ご近所の人にとってはただうるさい音にしか聞こえない場合もあります。その音を必要とするかどうかによって感じ方は変わってしまうのです。
受験生がいるご家庭や生まれたばかりの赤ちゃんがいるお宅ではちょっとした音でも気になる場合があります。また、同じ音でも昼と夜とでは聞こえ方、感じ方が違ってくる場合もあります。音が気になるのは寝る時が多いと思いますが、ご家庭や人によって就寝の時間は違いますし、中には静かすぎると寝られないという人もいます。このように人によっても状況によっても音の感じ方は変わってくるのです。
以上のことを理解しておけば、音の問題を解決しやすくなると思います。
音が出るからこそ大切な周囲への配慮
生活している以上、音が出てしまうのは仕方がありませんが「仕方がないからこそ、ご近所に対して細やかに配慮をすること」がマンションのような共同住宅で暮らす際の基本です。
あまり神経質になるのはよくありませんが、音に対しては常に慎重に対処して、騒音対策としてできることはしっかりとやることが大切です。
では、具体的な対策方法を紹介していきましょう。
生活騒音を出さないようにする方法
生活音といってもいろいろな種類があります。生活音が生活騒音にならないために解決策を知って、しっかりと対処するようにしましょう。
洗濯機は水平に置かれているかをチェック
洗濯機は音や振動も大きいのでまず使う時間に注意しましょう。タイマー機能を上手に活用して、早朝や深夜には動かさないようにしたいですね。
運転音が大きいと感じたり、異常な音がしたりするときは、洗濯機自体が水平に置かれていない場合もあります。水準器で水平が保たれているかどうかをチェックしてみてください。水準器は市販のものもありますし、洗濯機に付いている場合もあります。また、洗濯機の中に入れた衣類が片寄っていたり、詰め込みすぎたりしていると振動が大きくなる原因にもなるので注意しましょう。
クッション効果で音を緩和してくれる市販の防振マット(ゴム)、消音マットなどを洗濯機の下に敷くのもおすすめです。
掃除機の先やコードが床に当たる音に注意
掃除機も使用時間帯には注意したいものです。深夜や早朝にどうしても掃除しなければならない場合は、掃除機ではなくお掃除用ワイパーなどを使うのがおすすめです。
掃除機の先の部分(床用ノズル)やコードがフローリングの床に当たる音も意外と階下に響くので、ノズルを頻繁に持ち上げたりしないように気をつけましょう。コードレスやハンディタイプの掃除機があると音対策にはいいですね。
ピアノや電子オルガンは徹底した対策を
ピアノや楽器などの演奏にはご近所への配慮が必要です。まず、置き場所が重要になります。演奏するのは廊下側や外壁側ではない部屋や隣家への影響が少ない所を選びましょう。ピアノ本体を壁から10~15cmぐらい離すと音が壁伝いに伝わることが少なくなります。床に伝わる振動音の緩和には専用の防音マットが効果的です。
演奏中は窓や扉を閉めておきましょう。理想は防音ルームにすることですが、カーペットを敷いたり厚手のカーテンをかけたりすることで、簡易的に吸音効果を高めることができます。音量調整ができるものはなるべく小さな音で使用したり、ヘッドホンを使ってもいいと思います。
テレビやステレオは壁に近づけて置かないのが基本
テレビやステレオなどの音響機器を壁側にピタリとつけて置いている方もいるかと思いますが、このような置き方だと音が壁を伝わって他の部屋まで響いてしまいます。なるべく壁から離して置くことが大切です。時間帯によっては音を小さくすること、ヘッドホンなどを使うことを考えましょう。
テレビ等の近くの壁に市販の遮音シートを貼ったり、テレビボードの下に吸音マットを敷いたりするだけでも消音効果があります。
足音や飛び跳ね音には防音マットやカーペットを
ドシン、ガタンという飛び跳ねた時に出る低い音は「重量床衝撃音」といわれ、カーペットを敷いても防ぐことができないといわれています。お子様がふざけて飛び跳ねないように注意しましょう。日常的には少し不便ですが、走り回れないような家具の配置を考えてみるのも1つの対策になります。
床がフローリングなど固い素材の場合は、スリッパで普通にパタパタと歩いているだけで音が伝わることもあります。このような軽めで高い音を「軽量床衝撃音」といいます。この音の対策には、まず日常的に室内は静かに歩く心がけが大切ですが、よく歩く場所にはマットなどを敷くとよいでしょう。
ペットはストレスをなくす工夫も大事
最近はペット可のマンションも増えています。そのようなマンションは、ペット好きが多いかもしれませんが、とはいっても騒音対策を怠るわけにはいきません。犬の吠える声や、歩き回る足音を気にする人もいます。
例えば犬の場合、ムダ吠え対策のしつけが大切です。規則正しい食事や毎日の散歩でストレスをなくすようにしましょう。足音対策にはカーペットやマットなどがおすすめです。
ドアの開閉音はドアクローザーで調節を
ドアの開閉音は思いのほか近隣に響くことがあるので注意が必要です。「開閉はゆっくり」を基本にしましょう。ドアの上部についているドアクローザー(ドアチェッカー)を調節することでゆっくりとした開け閉めができるようになるので気になる方はご確認ください。
キッチンの洗い物や水はね音対策はマットやシートで
キッチンでの洗い物の音やシンクの水はね音などが迷惑になることもあります。深夜や早朝に使う場合はなるべく少なめの水で洗うようにしましょう。シンク用の水はね防止用マットやシンクの裏側に貼る防音・制振シートも効果があるようです。
入居時の挨拶で相互理解を
お子様やペットがいるご家族の場合、上下階や両隣の方への入居時のご挨拶が大切です。その時に、お子様やペットを連れてご挨拶に伺うことをおすすめします。どんな家族が住んでいるのか、どんなペットを飼っているのかが分かっていると、「音」に対する感じ方も違ってきます。もちろん、挨拶をしたからといって対策を怠ってはいけませんが、共同住宅ではこのようなちょっとした配慮が大切なのです。
マンションのような共同住宅では、自分自身が生活音に配慮することが必要です。自分が迷惑をかけないように事前にしっかりと対策を講じておく。気になることは小さなことでも解決をしておく。これが音でご近所の方に迷惑をかけない暮らしの第一歩です。
また、音にはマスキング効果といって、音楽が流れていたりすると他の音が聞こえにくくなるという現象があります。せせらぎの音などの環境音を流せばご近所から聞こえてくる音が気にならなくなるだけでなく、勉強などで集中力も高まるそうなので、とり入れてみるのもよいかもしれませんね。