自宅のドアを開けたとたん、真っ先に自分のもとへ駆け寄ってきてくれたり、目の前ですっかりリラックスしてくつろいでいる姿をみせてくれたり、甘えてくれたり。犬や猫が飼い主にみせる強い信頼感は、ペットをとても愛しく思わせてくれて、心が穏やかになります。

そんな、わたしたちにいつも癒しを与えてくれるペットには、家族の一員として快適に暮らして欲しいものですね。ペットにとってマンションは安全で暮らしやすい家といえますが、マンションのような集合住宅でペットと一緒に暮らすとなると少し注意することがあるのかもしれません。

そこで、今回はペットと一緒にマンションに住むことのメリットや気をつけることをご紹介します。

ペットと一緒のマンション暮らし

実は、ペットにとってマンションは、快適な暮らしができる空間です。なぜなら、マンションは、気密性や断熱性に優れているので、エアコンなどを使用すれば一年を通して室温を一定に保つことができます。真夏でも暑さの苦手なペットを熱中症から守り、暮らしに快適な環境を整えることができます。

また、マンションの中ですごす時間が長ければ、交通事故にあうことや、伝染病にかかる可能性も低くなり、ペットは安全で健康に過ごすこともできるのです。
このように大切なペットが安全で健康に生活することができるマンションでの暮らしは、飼い主にとってもメリットがあると言えるでしょう。さらに、ペットを飼えるマンションでは飼い主同士のコミュニティがある場合も多く、ご近所に住むペット好きな人と交流することで、地域のペットに関する情報が入ってきやすくなります。

マンションでペットを飼うときに必要なこと

まず、マンションでペットを飼うには管理組合への届出などの手続きが必要になる場合があります。また、マンションは一戸建てに比べて、他の住戸との距離が近くなるので、ペットを飼うためにはよりご近所の方のことを気に掛けることが大切です。

管理規約を守る

まずは、管理組合が定めたペットに関する管理規約を確認しましょう。管理規約はマンションごとに異なるので、自分が住んでいる、または、住もうと思っているマンションの管理規約をしっかりと確認することが大切です。

管理規約はマンションを所有している居住者が、お互いに気持ちよく生活するために作ったルールです。ペットを飼う時はこの規約を守ることが必要です。

多くの管理規約にはペットの飼育が可能かどうか書かれています。ペットの飼育ができる場合には、飼育に関する基本的な事項が定められています。更に細かいルールについては使用細則で定められている場合もあります。

ペットに関する規約があっても、詳細な記述がなく、自分のペットが飼育可能かどうかわからない場合もあります。そんな時は事前に管理組合に相談しましょう。何か問題が起きてから解決策を探すよりも、はじめにしっかりと確認や相談をしておくことが大事です。

管理規約や使用細則は以下の点についてきちんと確認しましょう。

  • 飼育可能なマンションかどうか。
  • ペットの種類、大きさ、頭数に制限はあるか。
  • ペット専用の共用施設はあるか。維持管理、費用、運営はどうなっているのか。

飼い主のコミュニティを積極的に活用する

ペットを飼うことができるマンションでは、マンションに住む飼い主が任意で結成するペットに関するコミュニティがある場合があります。このコミュニティには下記のような役割があります。

  • メンバー同士の交流や情報交換
  • ペット飼育時のルールづくり・周知
  • 管理組合との連携
  • ペットを飼いたい人の相談窓口
  • 近隣住民の苦情窓口
  • 共用部の清掃活動

飼い主のコミュニティは複数の役割を担っていますが、ペットに関する情報の窓口となって、情報提供や管理組合との情報連携が主な活動となります。

飼い主のコミュニティに参加すれば、地域の獣医さんの評判を聞いたり、散歩スポットを教えてもらったりすることができるかもしれません。飼い主のコミュニティで気の合う友人を作ることもオススメです。急用ができた時などに、ペットを預かってくれる身近な友人がいればとても助かりますよね。ぜひ積極的にコミュニケーションをとってみてください。

一番大切なのはモラルとマナー

管理規約は、マンションでペットと暮らすことをより楽しむためのルールですが、全てのことを決めきれないこともあります。そうした時、飼い主のモラルやマナーが大切になってきます。

下記はマンションでのマナーの一例です。

  • 自室や指定された場所以外での、毛や羽の手入れ、ケージの清掃などは避けましょう。
  • 毛や羽の手入れ、ケージの清掃などを行う場合は、窓を閉めるなどして、毛や羽が飛ばないようにしましょう。
  • 犬や猫が指定された場所以外をトイレとして使ってしまった場合は、後片付けをしっかりとしましょう。
  • 犬や猫と散歩する時には、許可された安全なところを通りましょう。
  • 廊下やエレベーターでは、ペットを抱きかかえるか、ケージなどに入れ、安全に移動しましょう。
  • エレベーターを利用する場合は、同乗者にひと声かけてから、乗るようにしましょう。
  • ペットと一緒にエレベーターに乗ることを、他のフロアから利用する人へ事前に知らせるための「ペット同乗ボタン」が付いているマンションもあります。そのような場合は、「ペット同乗ボタン」を積極的に利用しましょう。

飼い主は、自分のペットが可愛くて、近所の方も同じように可愛いと思ってくれていると考えてしまいますが、人にはそれぞれの考え方や感じ方があることに注意しましょう。

マンションでペットを飼うときの住まいの工夫

マンションでペットを飼う時には、ペットの居住空間についても配慮しましょう。聴覚、嗅覚など感覚がすぐれているペットは、私たちが気にならないことでも、気になって落ち着けなかったり、ストレスを感じたりしてしまうことがあります。しかし、ちょっとした工夫をするだけで、ペットはより安心して快適にマンションで暮らすことができます。

通風・換気をよくする

ペットのために、通風や換気をよくするようにしましょう。湿度の高い環境ではカビやダニが発生しやすく、犬や猫の皮膚病を引き起こしてしまうことがあります。
マンションでペットと一緒に暮らしている場合は特に、排気口や吸気口を家具などで塞がないように注意してください。また、排気口と吸気口の場所を確認して、室内の空気の流れや通気の良い場所を確認しておきましょう。

乾燥に注意する

犬や猫を室内で飼う時には、乾燥しすぎてもいけません。乾燥すると犬や猫の免疫力が下がってしまいます。また、湿度が30%以下では、風邪などのウイルスの動きが活発になります。

更に、空気が乾燥すると、床に溜まったハウスダストが舞い散りやすくなり、犬や猫の毛は静電気を帯びやすくなっているので、ハウスダストを吸着してしまいます。ハウスダストにはダニやカビなどが含まれているため、ペットの免疫力が下がった状態で、多くのハウスダストが付着すると皮膚に炎症を引き起こしてしまうことがあります。室内では50~60%の湿度を保つように注意してください。

トイレや寝床の場所

人間と同じように、犬や猫にとってもトイレや寝床は安心してくつろげる空間であってほしいものです。犬や猫が快適に生活するためには、十分に注意してトイレと寝床の場所を決めましょう。

トイレの置き場所は、においが部屋に残らないように換気できるところにします。また、マンションの共用廊下側の部屋や玄関口では、見知らぬ人の気配や足音が気になってしまう場合があるので、トイレや寝床にするのはやめましょう。

窓際を寝床にするのもお勧めできません。窓際は外気温の影響を一番受けやすいため、寒暖差が大きくなります。また、お隣にお住いの方との境界の壁際を寝床にするのも避けましょう。お隣のオーディオやテレビの振動が壁に伝わっている可能性があります。

人間にはわからなくても、犬や猫は気になることもあります。どうしても、壁際を寝床にする場合は、寝床と壁の間に隙間を作り、クッションを挟むなどして振動や音を軽減しましょう。

フローリングの工夫

ペット、特に犬にとってフローリングの床は歩きにくいものです。滑って怪我をしてしまうことがあるのでカーペットやラグを敷くことをお勧めします。カーペットやラグは犬や猫の関節への負担も軽減してくれます。

騒音対策

騒音は人によって感じ方が異なるため、音の大きさに関係なく、気になってしまう方もいます。しっかりとペットの騒音対策をしましょう。

騒音対策のポイントは窓です。窓に防音サッシが使われていると、外部との音の出入りを防いでくれます。他にはカーテンにこだわるのがお勧めです。厚みと重さがあって、ドレープの多いカーテンは高い防音効果が期待できます。室内の防音には、本棚がお勧めです。本棚は優れた吸音効果があるので、お隣にお住いの方との境界の壁に置くと良いと思います。

人間の足音も同じですが、犬の足音や猫が高いところから飛び降りた時の音は人によっては気になる場合があります。カーペットやラグを敷くことで音を軽減することができます。犬や猫が頻繁に通るところにはカーペッットやラグを敷くことを検討してみてください。

今回はマンションでのペットとの暮らし方についてご紹介しました。飼い主がちょっとした気遣いをするだけで、飼い主もペットもマンション暮らしをより一層楽しむことができます。また、愛らしいペットは周囲の人たちを朗らかな気分にし、飼い主同士のコミュニケーションも活性化してくれます。マンションという集合住宅ならではの暮らしをペットと一緒に楽しんでみましょう。