トイレはいつもキレイにしておきたい場所ですよね。少ない労力でトイレ掃除を今より簡単にできないかと思っている人もいるのではないでしょうか。

トイレ掃除を簡単にするコツは、汚れにあった洗剤を正しく使うこと。これができればトイレ掃除はぐっと楽になります。

そこで今回は、トイレ掃除をするときに知っておきたい汚れの特徴や、その落とし方を4つのポイントにまとめてみました。

トイレの汚れと落とし方の基礎知識

トイレの汚れは、種類によって洗剤や掃除方法を使い分けることで、以前よりも少ない労力でキレイにすることができるでしょう。まず、トイレにはどんな汚れがあるのか把握しましょう。汚れには酸性のものとアルカリ性のものがあります。酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使うことで、汚れを中和して落とすことができます。それでは、汚れの種類と効果的な落とし方をご説明します。

尿石

尿石は尿に含まれるカルシウムによって便器や配管にこびり付く頑固な汚れです。尿石もトイレの臭いの原因になります。放置すればするほど落としにくくなるので、なるべく早めに対処しましょう。尿石はアルカリ性の汚れなので、クエン酸などの酸性の洗剤が効果的です。クエン酸スプレー(水100mlにクエン酸小さじ1杯を混ぜたもの)をかけて、数十分ほど経ってからブラシでこすり洗いしましょう。

黄ばみ

黄ばみの原因は二つあります。

一つは、尿石によるもの、もう一つは、壁や床に飛散した尿の色素沈着によるものです。尿に含まれるアンモニアは臭いの原因にもなります。壁や床に飛散した尿は弱酸性のため、洗剤の液性(酸性・アルカリ性・中性などの違い)はあまり関係ありません。材質に優しく、消臭・除菌効果のある中性洗剤を使って、尿の色素沈着はキレイに拭き取れます。

黒ずみ

黒ずみの原因は黒カビによるものです。酸性の汚れなので、重曹などのアルカリ性の洗剤を使うと効果的です。黒ずみ部分に重曹スプレー(ぬるま湯100mlに重曹小さじ1杯を入れたもの)をかけて、5分ほど経ってからブラシでこすり洗いしましょう。

カビは根を持つため、一度キレイになっても根が残っているとまた黒ずみ汚れが目立つようになってしまいます。しっかりとこすり洗いをしましょう。

長年放置して、深く根を張ってしまった頑固な黒ずみ汚れには、アルカリ性の塩素系洗剤を塗布しましょう。数十分放置して水で洗い流せばキレイに汚れが落ちて、除菌もできます。

トイレ掃除に使う洗剤

トイレ掃除に使う洗剤について、性質別にその特徴をまとめてみました。汚れの種類に合わせて使い分けましょう。

中性洗剤

中性洗剤は洗浄力が弱いですが、酸性やアルカリ性の洗剤に比べて床や壁紙などを痛める可能性が低いです。酸性やアルカリ性の強力な洗剤は、塗装面を剥がしたり変色させたりする場合もあるので注意が必要です。 頑固な汚れになる前の普段のお手入れや、痛みやすい材質の掃除には中性洗剤を使用しましょう。

クエン酸(酸性)

クエン酸は酸性なので、尿石のようなアルカリ性の汚れに対して効果的です。さらに、クエン酸は除菌・抗菌効果があります。

クエン酸は料理などにも使われているため、万が一目や口に入っても安心です。小さなお子さんのいる家庭でも安心して使用できますね。(料理用と掃除用では、製造工場での安全基準や管理体制が異なるので、料理用を掃除に使うことはできますが、その逆はできません。)

重曹(アルカリ性)

重曹は弱アルカリ性なので、黒ずみのような酸性の汚れに対して効果的です。また、重曹は臭いの元となる物質を中和する消臭効果もあります。

クエン酸と同様に重曹は料理などにも使われるので、万が一目や口に入っても安心ですね。

塩素系洗剤(強アルカリ性)

塩素系洗剤は次亜塩素酸ナトリウムを主成分としたアルカリ性の洗剤です。強い除菌・消臭効果があり、ノロウイルスの消毒にも有効です。

しかし、直接皮膚に触れると炎症を引き起こすことがあるので、使用時にはゴム手袋やマスクを着用してください。また、酸性系洗剤やクエン酸と混ざると、有害なガスが発生するので、他の洗剤と混ぜて使用することは絶対に避けてください。使用する場合は十分に注意しましょう。

トイレ掃除のしかた

それでは、具体的な掃除の手順と場所別の洗浄方法をご説明します。

トイレ掃除の手順

最初に掃除用具をすべて用意しましょう。汚れ別に適した洗剤とブラシや雑巾(もしくは、拭き取りクリーナー)を揃え、必要に応じて手袋やマスクを着用します。次にマットや便座カバーを外し、消臭剤や小物類もトイレの外に出しておきます。準備が終わったら、場所別にトイレ掃除をはじめましょう。

せっかくなので、トイレの外に出したマットや便座カバーも洗ってしまいましょう。マットや便座カバーがトイレの臭いの原因になっている場合もあります。飛散した尿が染み込んで、菌が繁殖しやすいからです。洗濯機でも洗えますが、抵抗があれば、最初にバケツでつけおき洗いをしてから、すすぎと脱水だけ洗濯機を使うのもおすすめです。

場所別の掃除方法

フタ・便器

フタや便器の掃除は、汚れの種類に合わせて黒ずみには重曹、尿石にはクエン酸を使います。あまり汚れていなければ、中性洗剤だけで十分です。

便器の縁などはブラシが届きづらく、掃除しにくいですよね。洗剤を塗布しようとしても、すぐに下方向に流れていってしまうので、洗剤だけで汚れを中和・分解させることも難しいです。そんなときは、トイレットペーパーを淵に押し込んで、そこに向けて重曹水やクエン酸水をスプレーしましょう。トイレットペーパーが洗剤液を吸収して、長時間塗布することができます。しばらく放置して汚れを中和し、浮かび上がらせてから、ブラシでこすり洗いしましょう。また、便器の縁や溝など大きなブラシが届きにくい場所は、古くなった歯ブラシを使えば磨きやすいですよ。

タンクの中

タンクの中は普段見えないので、気づかないうちに汚れが広がっている場合があります。黒ずみ汚れがある場合には重曹水などのアルカリ性の洗剤で、そうでない場合は中性洗剤で洗浄しましょう。

まずはタンクに流れる水の元栓を閉めてから、タンク内の水を流して空にします。タンク内は洗剤をつけてブラシでこすり洗いします。洗い終わったら、元栓を開けて、水を流してすすぎましょう。

壁・床

トイレの壁や床には飛散した尿による汚れがついています。放置しておくと黄ばみや臭いの原因になるため、中性洗剤をつけた雑巾で拭き取りましょう。市販の拭き取りクリーナーの中にはトイレに流せるタイプの商品もあります。洗剤や雑巾を用意することなく手軽に使用でき、使い捨てなので衛生的です。

お掃除のポイントは、汚れやすい部分を重点的に拭き取ることです。壁は腰よりも低い位置、床は便器近くが汚れやすい部分です。

温水洗浄便座

温水洗浄便座は、便器と便座の接続部分の汚れが目に見えないため、放置してしまいがちです。接続部分の汚れを取るには温水洗浄便座を取り外してから行いましょう。

取扱説明書を見ると意外と簡単に取り外すことができます。(機種によっては、簡単に外れない場合もあります。)定期的に便座を外して掃除をしましょう。

汚れの種類に合わせて黒ずみには重曹、尿石にはクエン酸を使います。あまり汚れていなければ、中性洗剤だけで十分です。

温水洗浄ノズルも掃除します。機種によってはボタン一つで洗浄することができます。洗浄機能がない場合は、水か中性洗剤をつけた布やトイレットペーパーで軽く拭き取りましょう。力を入れすぎて、ノズルを折らないように注意してください。

臭いを防ぐには

トイレの臭いを防ぐには、臭いの元となる汚れを取り除くことが必要です。臭いの原因は黄ばみや尿石です。定期的にお手入れをすることで、汚れが付着しにくくなります。日頃のお掃除で汚れと臭いを予防しましょう。

臭いの対処としては、消臭剤も有効です。最近の消臭剤は臭いを香りで隠すのではなく、分解・消臭するタイプもあります。

市販の消臭剤以外にも、消臭効果のある重曹を消臭剤として使用することができます。ビンやプラスチック容器に100グラム程の重曹を入れて、市販の消臭剤のようにトイレに置いておくだけです。数週間経って消臭効果がなくなったら便器やタンクの洗浄に使いましょう。

ずっとお掃除をしていなかった床や壁紙、便器や配管などは汚れが落ちにくい場合もあります。そういう時には掃除のプロフェッショナルに頼んでみるという方法もあります。お掃除のプロは汚れについて詳しいだけでなく、プロ用の洗剤などを使ってきれいに仕上げてくれます。

普段のお手入れ

写真:ライオンズ札幌中央レガシア 分譲済

トイレの汚れを長年放置していると、汚れが沈着し、落とすことが難しくなります。頑固な汚れになる前に普段からお手入れすることが重要です。

以下の3つのお掃除は数分でできるので、気づいたら実施してみてください!

  • 汚れが目立つ前から、床や壁に飛散した尿の拭き取り掃除
  • クエン酸スプレーや重曹スプレーを用意しておいて、便器に吹きかけ掃除
  • タンク内は、市販のタブレットタイプの洗浄剤や重曹を溶かし入れて簡易洗浄

トイレは、部位と汚れに合わせて適切な洗剤を使うことで、簡単にしっかり掃除をすることができます。ただし、長年放置された頑固な汚れを落とすには時間がかかる場合もあります。もしも頑固な汚れがある場合は、しっかりと時間をかけて掃除してみてください。

その後は普段のお手入れをするだけで、汚れが付着しにくくなります。定期的なしっかり掃除と普段のお手入れを組み合わせて、少ない労力でキレイなトイレを維持しましょう。