毎日の暮らしの中で家事が面倒だと感じた事はありませんか?家事をするにはある程度時間がかかるものですが、上手にテキパキとこなして自分の好きなこと、やりたいことをする時間も作りたいですよね。

世の中には、家事時短のための裏技やグッズがいろいろあって便利ですが、これらでは、根本的な解決につながらないことが多いようです。ここでは基本になる「家事動線」を見直すことで、家事に時間がかかるという問題をしっかりと解決する方法をご紹介します。

家事時短のポイントは同じ作業を効率化すること

毎日の家事はほとんどが繰り返しの作業です。同じことの繰り返しだからこそ面倒だとも感じるのですが、パターン化されているということは、ちょっとの工夫や、考え方を変えることでその効率は一気にアップするはずです。

効率化というのは「手抜き」ではありません。いかにムダをなくすか、ということです。日本には「段取り」という言葉があります。効率化はムダをなくてして「いかに段取りよく進めるか」ということ。そして、同じ作業を段取りよく進めるために考えたいのが「動線」なのです。

動線から考える「家事の効率化」のポイントは次の3つになります。

  1. まず部屋の動線を見直す
  2. 動線に合わせてモノを置いてみる
  3. やらなくていい家事はやらない

このあとは、上の3点について一つ一つ説明していきます。
まずは「動線の見直し」からです。

部屋の動線を見直しましょう

「動線」という言葉について改めて説明しましょう。動線というのは部屋の中であなたや家族がどのように動くのか、その移動経路のことです。昔は建築家など専門家が使うことが多かった用語ですが、最近では一般的な言葉になってきました。
「動線」の良さをアピールしたマンションの広告も見られます。家事の時短は、この動線の見直しから始まります。

暮らしの動線には2つの種類がある

日々の暮らしの動線には「生活動線」と「家事動線」の2種類があります。「生活動線」というのは顔を洗ったり、お化粧をしたり、トイレに行ったりといった生活するための基本的な動きのことです。建築家はこの「生活動線」を大切に考えて、マンションの部屋を設計します。

一方、「家事動線」は料理を作る、お掃除をする、洗濯物を干したり取り込んだりするなど家事に関連するあなたや家族の動きの経路のことです。元々の部屋の間取りも関係しますが、家具の場所などによっても変化していきます。

家事動線はなるべく短く

家事のために家の中を歩き回り、何度となく往復するのが私たちの日常です。お料理のための動線、掃除のための動線、洗濯のための動線、家事は毎日のことですからすっかり慣れてしまって動線の長さを意識しなくなっているのかもしれません。

家事動線を短くするというのは、たとえば料理する場面では、料理道具の収納場所がいろいろな場所に分かれているとあっちに行ったりこっちに行ったりそれだけでムダが多くなってしまいますね。食器棚がキッチン周りにないと動線が長くなる原因なのです。
具体的な例はあとでご紹介しますが、料理に限らず、家事の進め方や道具の位置、家具のレイアウトを変えて「動線を短くすること」をぜひ意識してみてください。

生活動線を家事動線に重ねる

家事をするためではなく家の中を移動するのが「生活動線」。ここでの提案はちょっとした移動のついでに家事をやってしまう「ついでに家事」のすすめです。

特に掃除は、廊下やリビングなど普段行き来する場所が対象になるので生活動線に組み込みやすく「ついでに家事」がやりやすい作業です。これも具体例はのちほど紹介しますね。

大切なのは毎日のちょっとした移動の中で家事ができないかを考えてみることです。この「ついでに」の積み重ねが家事の効率化につながっていくのです。

次は家事効率化のポイントの2つ目、
「動線に合わせてモノを置く」、その具体的な提案です。

動線に合わせてモノを置いてみましょう

では、家事動線を短くするには具体的にはどうすればいいのでしょう。動線に合わせたモノの置き方というのは、料理や掃除や洗濯など各々の家事の「流れ」を見直して、効率よく動けるよう道具や家具の置き方を変えていくことです。それでは、家事別にご紹介していきます。

料理では使う場所の近くに使う道具を収納するのが基本

調理道具については「水回りのモノはシンクの近く」「火関連のモノはコンロの近く」に収納するのが基本です。ボウルやザルはシンクの下に、フライパンや鍋類はコンロ下に収納すれば動きが少なくてすみます。鍋はコンロ下と書きましたが、最初に水を入れて調理することが多い鍋ならばシンク下に置くなど、柔軟に考えてみましょう。

この基本ですが、意外と守られていないのでぜひチェックしてみてください。

食器棚がダイニングに置かれていませんか? 可能ならばキッチンの近くに移動させてムダな動きがないようにしましょう。食器棚をどうしても動かせない場合は、料理を始める前にその時に使う食器類をあらかじめ出しておけば動きが少なくてすみます。

掃除では気軽にできる環境作りが大事

床のホコリが気になった時、近くに掃除機や、掃除機よりも小回りの利く掃除用ワイパーがあればサッときれいにすることができますね。洗面所の汚れも布類やスポンジなどが近くにあればすぐに始められます。掃除をする場所の近くに掃除道具を置いておく、掃除の動線短縮はこれが基本になります。

掃除用ワイパーなどは家の中の数カ所に置いておいて、移動のついでにサッサッと床をきれいにすれば、まさに「ついでに家事」。このようなちょっとした工夫を積み重ねることでお掃除の負担が少しずつ減っていくのです。

洗濯では収納場所をベランダに近づける

洗濯の動線では洗濯物をしまう場所をどこにするかが大きなポイントです。洗濯機の場所と洗濯を干すベランダ等は間取りで決まっていますが、衣類などをしまうタンスは移動も可能です。洗濯の一連の作業が効率よく進むように干す場所としまう場所をできるだけ近づけるようにしましょう。

またベランダへの動線をしっかりと確保しておくことも大切です。ソファとテーブルの間が狭くてベランダに出にくいことはないでしょうか? ベランダに出るたびに遠回りをしなくてはならないと、時間もかかるし、心理的な負担も大きくなります。家具を移動して通りやすくしましょう。

家具の移動をともなった動線の見直しは少し面倒ですが、だからこそ家事の負担を軽くする根本的な解決になるのです。ご家族にもぜひ協力してもらって、実行してみてください。

家事効率化のポイント、これが最後です。
やらなくていい家事とはどんなものでしょうか?

やらなくていい家事を見つけましょう

私たちが「やらなくてはならない」と思っている家事の中にも、やらなくて済むものがあります。私たちはどうしても固定観念にとらわれていて、やらなくて済む家事に追われてしまっているのかもしれません。やることがなくなれば当然、家事の負担は減るのです。

ハンガー収納でたたむ時間をなくす

洗濯を例にすると、干した後の衣類はたたまないでハンガーにかけてそのままクロゼットに収納してはどうでしょうか?シワもできにくいですし、たたむ時間がなくなれば大幅な時短になります。子供用の衣類は特に小さくてたたむのが面倒ですからハンガー収納はおすすめです。

探す時間をゼロに近づける収納法

また「探す手間」をゼロに近づけることで時短を図ることもできます。キッチンの収納では使う頻度に応じてよく使うものを手前や低い場所にしまうことで探す手間が省けます。また調理道具を吊るしたり、調味料をおしゃれな容器に入れてカウンターに置いたりすれば、サッと取れるのでこれも時短につながります。

お掃除の頻度を見直してみる

お掃除の回数もぜひ見直してみましょう。場所によっては毎日やらなくていい場合もあると思います。本当に今のような頻度が必要なのか考えてみてはいかがでしょう。やらなくて済むこと、他にもいろいろありそうですよ。

裏技や便利グッズなどに頼らず「動線」という動きの面から家事の効率化を考えた今回のコラム、いかがでしたか?これを参考にぜひ一度、現在の家事動線を見直してみてください。きっと、あなたの暮らしに余裕が生まれてくると思います。

 

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