部屋の雰囲気を変えたいときや部屋をより使いやすくしたいときに、模様替えを思い立つ方は多いのではないでしょうか。ただ、実際にやってみると思ったようにおしゃれで使いやすい部屋にならず、結局家具を元の配置に戻してしまったという経験のある方もいるかもしれません。
使いやすい部屋を作るためには、模様替えの手順を踏むことが大切です。今回は、模様替えの基本的な手順と、簡単におしゃれな部屋を作ることができるテクニックを紹介します。この記事を読んでぜひ模様替えにチャレンジしてみてください。

模様替えは好みのデザインの確認からはじめる

部屋の模様替えをするときは、いきなり新しい家具を買ったり、カーテンの色を変えたりせずに、まずは自分がどのような部屋にしたいのか確認することからはじめましょう。
そのためには、インテリアの専門誌や家具メーカーのカタログ、インターネットで色々な部屋の写真を見て、自分の好みを見つけることをオススメします。最初はあれもこれもと目移りするかもしれませんが、色々なデザインをみているうちに、自分が思うおしゃれな部屋、そこで過ごしたら気持ちがいいと思えるような部屋について具体的なイメージを持てるようになります。

動線を意識して使いやすい部屋に模様替え

部屋の模様替えでは動線(部屋の中の移動経路)を考慮することも重要です。動線により部屋の使い勝手が決まります。

「生活動線」と「家事動線」を把握する

部屋の動線とは、部屋の中で人が動く移動経路のことですが、「生活動線」と「家事動線」の2種類があります。
「生活動線」とは顔を洗ったり、着替えたり、食事をしたりといった生活をするために部屋の中を移動する経路のことです。
「家事動線」とは料理を作る、掃除をする、洗濯物を干したり取り込んだりするなど家事に関連する移動経路のことです。「家事動線」を短くすると、無駄な移動が減り使い勝手の良い部屋になります。
模様替えをして使いやすい部屋にするためには、これら2種類の動線をあらかじめ把握しておくことが必要です。

見取り図を作る

動線を意識して模様替えをするために、部屋の見取り図を作りましょう。見取り図には、ドア・窓はもちろん、照明やコンセントの位置なども書き込みます。さらに、壁の長さ、ドアの開く範囲や窓の高さなどのサイズを計測して書き込みましょう。少し手間に感じるかもしれませんが、家具を置こうとしたらサイズが合わず、レイアウトを一から考え直さなければならなくなった…という失敗を避けることができます。

動線を意識して家具の配置を決める

見取り図を作ったら、動線を考えながらテーブル、イス、ソファやテレビなど大きな家具や家電の置き場所を決めましょう。家具を配置する際のポイントは、人が頻繁に通る場所の広さを十分に確保することです。人が一人通るのに必要な幅は60cmくらい、二人通る場合は90cmから120cmくらいが目安です。
また、後ほど詳しく説明しますが、家具の配置によって部屋が広く見えたり、狭く見えたりします。
これらのことを考慮して、見取り図の上で最適なプランを作ります。その後で、実際に家具を配置してみましょう。

以上が模様替えの基本的な手順です。次に、簡単に部屋をおしゃれに見せることができる2つのテクニックを紹介します。

部屋をおしゃれに見せる模様替えテクニック

ここでは、色の使い方であるカラーコーディネートの基本と照明の活用方法をご紹介します。

カラーコーディネートの基本

部屋のインテリアの主役となるソファなどの大きな家具やカーテンを自分の好きな色(キーカラー)にしてみましょう。
続いて、その周辺にアクセントカラーを置きましょう。アクセントカラーとは、全体の色調に変化をつけたり、他の色を引き立てたりする役割を持つ色のことです。キーカラーに溶け込むような色ではなく、色相環上で向かい合う位置にある補色同士(赤と緑、青と橙、黄と紫など)を合わせることが多いです。クッションやソファカバーなどの布製の小物類、絵画、花瓶やガラス製品、切り花やインテリアグリーン、食器類などの色はアクセントカラーとして利用しやすいのでオススメです。

間接照明による演出

間接照明を使うことによって、部屋の印象は大きく変わります。模様替えの際に照明を変えてみるのもいいかもしれませんね。

床と壁を照らす

部屋でリラックスして過ごしたいときにはこの照明。目線より下にある照明を活用することで、光の重心が低くなり落ち着いた雰囲気が生まれます。

壁だけを照らす

部屋を広々と見せたいときにはこの照らし方にしてみましょう。天井と壁を照らす明かりが空間に奥行きを生みだし、開放感のある部屋になります。

天井だけを照らす

天井を照らした光は反射して下に行くほど弱まるので、全体的に落ち着いた感じになります。

床だけを照らす

室内の明かりを消して床だけを照明で照らしてみる方法もあります。スタイリッシュで非日常的な雰囲気が生まれます。いつもと全く違った雰囲気の部屋で過ごしたい時にオススメです。

おしゃれに簡単に模様替えができるアイテムのご紹介

新しく家具を購入したり、壁紙を貼り替えたりしないで、もっと手軽に部屋の雰囲気を変えてみたいということもありますよね。
ここでは、アイディア商品を使った手軽にできる模様替えの仕方をご紹介します。

リメイクシートで棚や家具を模様替え

リメイクシートとは、家具などに貼るだけで、柄を変更できるシールタイプの塩化ビニール製のシートです。木目やタイルなど様々なデザインのものがあります。収納の扉にアクセントカラーを加えるなど手軽に部屋の雰囲気を変えることができます。

ウォールステッカーで壁をデコレーション

ウォールステッカーとは、壁などに貼るシール状のインテリア雑貨です。静かに端からはがせば簡単にはがれるので、失敗しても貼り直すことができるし、壁を汚すことなく部屋の雰囲気を変えることができます。シーズンごとにその季節に合うステッカーに貼り替えて楽しむのもいいですね。

グリーンを置いて部屋を癒しの空間に

観葉植物の緑は部屋の中で色のアクセントを作ってくれます。また、眺めているだけでリラックスできるような気がします。
観葉植物はその種類によって明るい場所が好きだったり、直射日光が苦手だったりします。インテリアとして植物を選ぶときは、特性にあった置き場所を考えましょう。
どうしても育成に向かない場所に植物を置きたい場合は、フェイクグリーンを使うことをオススメします。フェイクグリーンは本物の植物に似せて作られている人工の植物のことです。水や日光がなくても枯れてしまうことがないので世話のことを気にせず手軽にどこでも置くことができます。

部屋をスッキリと広く見せる模様替えテクニック

戸建て住宅と比較するとマンションは収納スペースが限られている場合が多いので、スッキリした部屋にするのに少しコツが必要になります。ここでは部屋を広く見せるテクニックをご紹介します。

「視線の抜け」をつくる

部屋を広く見せるには、「視線の抜け」を作ることが大事です。 「視線の抜け」とは部屋の中に視界をさえぎるものがなく、部屋の奥まで見通せる状態をいいます。背の低い家具を選んだり、窓を塞がないように家具を配置したりする工夫が必要です。
「視線の抜け」のある部屋を作るには、自分の視線の高さを確認してから家具を買うとよいでしょう。例えば身長170cmの人の視線の高さは、立った場合約150cm、椅子に座っていると約120cmが目安です。120cm以下の家具が多ければ、座ったときに視線を遮るものが少なく、部屋が広く感じます。

床が見えるスペースを広くつくる

部屋をスッキリと広く見せるには、なるべく床が見えるスペースを広くとりましょう。家具を置く面積は、部屋の広さの三分の一以下にするのがよいとされています。ただ、実際はそれ以上家具が置かれているケースが多いようです。
理想の割合より家具が多く置かれている場合でも、家具を置く位置を工夫して、なるべくまとまって床が見えるスペースを確保するとよいでしょう。スペースが分かれているよりもまとまっているほうが部屋は広く見えるようになります。

色の特性を利用する

色には人に与える心理的な効果があることが確認されています。
たとえば、赤、オレンジ、黄色などの暖色、明るい色、鮮やかな色は、進出色と呼ばれ、前に出てくるように感じられる色です。そのため、壁や天井、カーテンなどに進出色を使うと部屋が実際よりも狭く感じることがあります。
進出色とは反対に実際よりも遠くに見える色を後退色と呼びます。青、青緑などの寒色系の色や、濃い茶や濃い緑などの明度の低い色がそうです。部屋を広く見せるには後退色をうまく利用してみましょう。

鏡を活用する

部屋を広く見せるのに鏡も役立ちます。鏡の反対側の空間や外の景色が映りこむことで視線が遠くまでいくようになり、部屋を広く感じるようになります。
天井や照明が映るように大き目の鏡を置いてみるのもよいアイディアです。部屋に奥行きを感じるようになるだけでなく、インテリアに変化を与えることができます。

部屋の入口から遠くにフォーカルポイントをつくる

写真:ミッドマークス円山 桜の邸・杜の邸 モデルルーム(分譲済み)

部屋の入り口から遠くにフォーカルポイントを置くと部屋を広く見せることができます。フォーカルポイントとは部屋の中で視線が集中する場所のことをいいます。壁に絵や写真を飾ったり、ディスプレイ用の家具に小物を飾ったりして作ることができます。フォーカルポイントを部屋の入り口から遠くに置くと、自然に部屋の奥に視線がいくため、広さを感じるようになります。

今回は模様替えの基本的な手順とおしゃれな部屋作りのテクニックをご紹介しました。
まずは自分の好きなデザインを確認し、効率の良い動線を考えてから、家具の配置を決めるとよいでしょう。
その他にもこのコラムでご紹介したテクニックを活用して、自分好みのおしゃれで使いやすい部屋に模様替えしてみてくださいね。