子供が親元を離れて生活し始めることや、定年が近くなることは、シニアカップルにとって、その後の人生をどのように暮らしていくのかを考えるよいきっかけになります。
シニアカップルの暮らし方のひとつに地方移住があります。
地域活性化支援事業を展開している民間会社の「地方移住に関する意識調査」よれば、具体的に行動していなくても、50代の約半数近くが地方移住に関心を持っており、50代に人気がある暮らし方といえそうです。

今回は地方移住の中でも、現在の生活拠点を維持しながら地方にも生活拠点を持つという二地域居住という暮らし方についてスポットを当ててみました。50~60代に人気がある二地域居住とはどのようなものでしょう? 地方移住に興味のある方にとっては役立つ情報ですので、是非お読みください。

二地域居住は50~60代が望む地方移住

移住には完全移住と二地域居住の二つのパターンがあります。
完全移住とは、今の住まいを手放して、新しい地域に生活拠点を完全に移す移住のことをいいます。一方、二地域居住とは、主に都会にある住まいを残したまま、地方にも拠点を築き、二ヶ所の住まいを行き来する暮らし方のことです。

平成26年9月に首相官邸で行われた「まち・ひと・しごと創生会議」の会議資料にある「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」によると、シニア層(60代の男女)で二地域居住をしてみたいと回答した人は32.5%と他の年代より多く、人気があることが分かります。

二地域居住は今の生活拠点を残したままで地方移住できるので、これまでの生活スタイルを急激に変えたくない50~60代にとって関心の高い地方移住の方法となります。

二地域居住のメリット

二地域居住とはどのような暮らしでしょうか?そのメリットに注目してまとめてみました。

都会と地方のいいとこ取りができる暮らし

二地域居住では、都会と地方それぞれの良いところを両方楽しむことができます。
都会では、交通機関が発達していて、公共サービスも充実し、生活に必要なものはほとんど手に入ります。便利な暮らしをおくることができるのが都会の良いところです。
一方、多くの地方都市では、車や電車で数十分ほど移動すれば、田園風景が広がり山や川も身近に感じられるようになるでしょう。人の手があまり入っていない自然の近くで生活できるのが、地方での暮らしのメリットです。
生活拠点を都会と地方に二ヶ所持つことで、これら両方の暮らしを満喫することができます。

生活環境が大きく変わりすぎることがない

今の住居を持ちながら新しい生活拠点を持つという二地域居住には、生活環境が大きく変わりすぎないというメリットがあります。
近所に住む人との付き合いや、かかりつけの病院、行き慣れたレストランなど、これからも続けていきたい関係もあると思います。そんな関係を維持しながら、地方での新しい暮らしの楽しみ方や人との距離感をお試しできるのが二地域居住です。

二地域居住の3つのパターン

二地域居住には、目的や用途によって大きく3つのパターンがあります。ここでは、それぞれの違いやメリットについてご紹介します。

週末移住

週末移住とは、平日は都会に住み、週末やまとまった休みの期間だけ地方に移住するライフスタイルです。
例えば、東京と札幌で二地域居住をする場合、金曜日の夜に仕事が終わったあと、飛行機で札幌まで移動することが可能です。土日は北海道の海の幸に舌鼓をうったり、温泉に浸かってゆっくりと疲れを癒やしたりと週末を満喫できますね。

季節移住

季節移住とは、季節に合わせてより快適にすごせる場所に住む移住の方法です。
寒い時期は思い切って沖縄に移住して南国の冬を満喫し、暖かくなったら東京に戻ってくるような暮らし方が考えられますね。
夏の暑さや冬の寒さ、梅雨のジメジメなど、日本には暮らしにくいと感じる季節があります。季節移住を上手に活用することで、1年の過ごし方が今まで以上に快適になるかもしれません。

趣味の住まいを持つ移住

趣味の住まいを持つ移住とは、絵画や陶芸、手芸などの趣味を行なう場所として、地方にアトリエなど制作拠点をもつライフスタイルです。都会を生活拠点にして、地方では静かな集中できる環境の中で趣味に没頭することができそうですね。

二地域居住を実現させるまでの手順とコツとは?

二地域居住は、転出届などの行政手続きが必要ないので、始めるのに手間がかかりません。とはいえ、事前にしっかりと準備をしておくことは大切です。
ここでは、理想の二地域居住を実現させるためにやる事を、順を追って説明していきます。

移住の目的を明らかにして効率的に情報を集めましょう

いきなり候補地を探すのではなく、まずは移住の目的を明確にしましょう。
例えば、冬の寒さが苦手で、暖かい土地への移住を考えているのであれば、候補地は冬でも暖かい地域に絞られてきます。
候補地が絞られれば、効率的に移住先の情報収集ができます。情報収集はインターネットや書籍はもちろん、自治体の移住相談窓口なども活用できます。

優先順位を付けて候補地を絞り込みましょう

目的に見合う候補地の情報を収集したら、次に具体的に候補地の検討をはじめます。以下のポイントを参考に検討してみましょう。

  • 移住の目的に合っている場所か?
    自分の移住の目的に合う候補地かどうか確認しましょう。たとえば移住によって趣味に没頭したいのであれば、利便性よりも、静かで趣味に集中できるところを優先して候補地を絞り込みましょう。

  • 現在住んでいる場所からのアクセスが良いか?
    二地域居住では、現在住んでいる場所と移住先の二地域の間を移動する機会が多くなります。そのため、移動時間がなるべく短くてすむような場所を選ぶと便利です。

  • 食料品、生活用品などの買い物は便利か?
    地方に住むとはいえ、食料品や日用品の買い物の利便性は必要です。無理なく買い物に行ける範囲にスーパーやドラッグストア、できればコンビニがあるかどうか確認しましょう。

  • 希望の住宅物件がありそうか?
    自分が気に入った住居に住むことも、理想の二地域居住を実現するには大切な要素のひとつです。街として気に入っても、よい物件がなければ理想通りの生活をおくることはできないかもしれません。候補地によいと思える物件があるかどうか確認しておきましょう。

以上のことを考慮しながら候補地に優先順位をつけて、絞り込みましょう。

移住までのスケジュールを組み立てましょう

候補地を絞り込んだら、次に移住までのスケジュールを立てましょう。候補地を下見に行く日程、いつごろ物件探しをするのか、最終的に二地域居住を開始する時期などを事前に決めておきましょう。
例えば、避暑目的で涼しい地方に移住する場合は、夏の間に候補地に行き、その地域の夏を体験しておくことをオススメします。このように、下見に行く時期を優先してスケジュールを作成することが必要です。

情報だけでなく、実際の体験を通して移住先を知りましょう

移住先の最終決定をする前に、必ず候補地に足を運び、何日か滞在しておきましょう。インターネットや本だけの情報では分からないことがあります。特に街の雰囲気は、現地に行かないと分からないことが多いです。
また、一人だけでなく、家族と一緒に候補地に泊まることもオススメします。自分は街の雰囲気に魅力を感じたけど、家族は違う印象を受けていたということもあります。

候補地の物件を探しましょう

体験を終えて、候補地が決まったら、次に物件を探しましょう。
候補地の体験をする時に、あわせて物件を見ておくこともオススメです。
不動産の開発業者は、その土地に合わせて街やマンションなどの住環境を設計しています。気候や湿度対策など、その土地ならではの工夫が施されていることもあります。実際に物件を見て、確かめてみましょう。

移住先の生活に積極的に触れましょう

物件が決まり、生活に必要なものを準備したら、いよいよ二地域居住生活のはじまりです。
地方に生活拠点をもつことで、初めて都心と地方の人の考え方の違いに気づくこともあるかもしれません。しかし、移住先では、地域に合わせた柔軟な考え方や行動をするように心がけるのがいいですね。地域の行事や交流会に積極的に参加して、その土地の生活スタイルに触れているうちにその土地に馴染むことができるでしょう。

二地域居住をしてみれば、都心と地方都市の良いとこ取りができるかもしれません。都心での便利な生活基盤を残しつつ、新しい土地で新たなライフスタイルを生活に取り入れることができます。
ライオンズマンションでは、地方都市の魅力などをご紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。