沖縄は日本でも有数のリゾート地です。2016年の1年間で沖縄を訪れた観光客は約861万人、4年連続で過去最高を更新しています。那覇国際空港には主に東アジアからの便が乗り入れていて、約208万人もの外国人観光客が訪れています。

さて、そんな沖縄に暮らす魅力は何でしょうか?沖縄への移住希望者に対するアンケートでは、「スローライフ」「自分らしい生活をしたい」「自然環境が豊富な中で生活をしたい」などを住みたい理由としてあげているようです。

今回は、住みたくなる街としての沖縄の魅力を探ってみたいと思います。旅をして心惹かれた人も、移住を考えている人も、ぜひ参考にしてみてください。

  • 沖縄の基本情報
  • 沖縄の暮らしを楽しむ

最初は、ぜひ知っておきたい沖縄の基本情報から

沖縄ってこんな場所!

日本で最も西に位置する沖縄県。県庁所在地の那覇市がある沖縄本島を中心に160もの島々で構成されています。

全国第1位の人口増加率

国勢調査(2015年)によると沖縄県の人口は約143万人で、そのうち9割以上の約129万人が沖縄本島で暮らしています。沖縄県でもっとも人口の多い那覇市に住む人は約32万人です。

沖縄で特に注目されるのは人口増加率の高さです。前回の国勢調査から3.0%増加しており、全国第1位の増加率です。2005年ぐらいから起こった沖縄移住ブームが続いていること、東日本大震災後に東北からの移住者が多かったことが原因といわれています。

さらに、1人の女性が生涯に何人子供を産むかを推計した「合計特殊出生率」も沖縄県は1.94人で全国1位です。15歳未満の子供の数の割合も全国1位の17.4%。これは、全国平均の約1.3倍にあたります。社会増(移住や引っ越しによる増加)だけでなく、自然増(出生による増加)も人口増加の要因のようです。

冬でも過ごしやすい沖縄の気候

沖縄は真冬でも最低気温が10度以下となることはほとんどありません。一方でとても暑そうなイメージのある真夏でも35度を越える日はめったにありません。沖縄は1年を通じて最高気温と最低気温の差が少なく、これがリゾート地としての人気の秘密です。冬でもあまり寒くならないので、寒さが苦手な人には過ごしやすい場所といえそうです。

ただ、本州と比べて湿度は高めです。冬場でも70%近くあり、梅雨の時期には80%以上になります。住まいの湿気対策はしっかりとした方がよさそうです。

移動は公共交通よりも車がメイン

沖縄の人々の移動手段には、自家用車、バス、タクシーなど車がメインで使われています。那覇市を例に取ると、面積は39.57平方km(東西が約10km、南北が約8km)とそれほど大きな街ではないので、車で移動してもさほど時間はかかりません。市内中心部の国際通りから海沿いにある那覇空港まで車で10分ほど、世界遺産に登録されている首里城には20分前後で行くことができます。高速道路(沖縄自動車道)の利用料金が安く設定されているので遠出する場合にも利用しやすいですね。

また、沖縄県は日本で唯一JRの路線の無い都道府県ですが、2003年にできた沖縄都市モノレール線(ゆいレール)が那覇市内の那覇空港~市中心部~首里間を結んでいます。空港からオフィス街、住宅街、観光地などを通るので、地元の人だけでなく、観光客の移動手段としても利用されています。

路線バスは4つの会社で沖縄本島全域を網羅しています。那覇市内も同じ4社で運行されていて、市内線、市外線、高速バスなどにわかれています。移動手段として市民はモノレールと路線バスをうまく使いわけているようです。

タクシーは初乗り運賃が本土に比べて安いので(東京などの近距離初乗りをのぞく)観光客によく利用され、地元の人々の買い物などにも使われています。

沖縄本島と離島との移動には高速フェリーなど船の利用が主な手段です。沖縄本島には、6か所の港から、14の離島に向けフェリーや高速船が出ています。

北部・中部・南部、地域で変わる沖縄の暮らし

沖縄本島は主に北部・中部・南部、3つの地域に区分されています。自然が多く残る北部、自然と利便性をあわせ持つ中部、政治経済の中心地・那覇があり交通の便もよくスーパーやコンビニも多い南部、それぞれ特徴があります。それでは、どんな人がどこに住むのに向いているのかを紹介してみます。

北部は山原(やんばる)という原生林が広がる自然豊かな地域です。沖縄ならではの自然を楽しみたい方には人気のエリアです。ただ、ちょっとした買い物をするにしても中部に近い名護市あたりまで車で出かけなければなりません。利便性を求めず、自然との共生を楽しみたい人に向いています。

中部は海や山など自然も豊かで、スーパーなども過不足なくあります。また、米軍の施設が多いことからアメリカンカルチャーの影響を受けている地域でもあります。
那覇市のベッドタウンとして発展している浦添市は、沖縄本島中部の中でも注目されています。那覇市へのアクセスがよく、ショッピングなどの利便性も高い街です。中部は、日常的に自然に接しながら不便なく買い物などをしたい人に向いている地域です。

南部は公共施設が充実していて、暮らしていくうえで困ることは少ない地域です。人が多く、ショッピングモールや企業の支店も那覇市のある南部に多いため、大都市で暮らしているのと似たような感じを受けるかもしれません。都市生活の便利さを優先し、週末などに遠出して沖縄の自然を楽しみたい人には南部がおすすめです。

自然に囲まれた沖縄ライフ、どんな楽しみが待っているのでしょう?

沖縄の暮らしを楽しむ

沖縄での暮らしの魅力はダイナミックな自然がそばにあることです。マリンスポーツや独自の文化、この土地ならではの料理や食材も魅力ですね。

絶景と暮らせる幸せ

沖縄には有名な絶景スポットがたくさんあります。那覇市内からちょっと車で足を延ばせば、誰でも名カメラマンになれるほどの絶景があることは大きな喜びですね。

では、特に有名な絶景スポットを紹介しましょう。

万座毛(まんざもう)沖縄本島・国頭郡恩納村 那覇中心部から車で50分ほど(高速使用)

象の鼻の形をした岩で有名です。周辺の海は透明度が高くリーフ(サンゴ礁)がはっきりと見えるほど。リゾートエリアの恩納村にあります。

古宇利大橋(こうりおおはし)屋我地島~古宇利島・国頭郡今帰仁村 那覇中心部から車で1時間30分ほど(高速使用)

本島北部にある屋我地島(やがじしま)と古宇利島を結ぶこの橋から見るエメラルドグリーンの海の美しさはまさに絶景。古宇利島にあるハート形の岩、ハートロックも有名です。

残波岬(ざんぱみさき) 沖縄本島・中頭郡読谷村 那覇中心部から車で1時間ほど(高速使用)

白い灯台のある岬の先端に向けて約2kmの断崖が続くその景観はダイナミックそのもの。海の美しさと水平線に沈む夕日の美しさも有名です。

果報バンタ(かふうばんた)宮城島・うるま市 那覇中心部から車で1時間15分ほど(高速使用)

「果報」は沖縄の言葉で「幸せを運ぶ」の意味、「バンタ」は「崖」です。標高120mの崖から見る景色は息を呑むほどの美しさです。

ニライカナイ橋 沖縄本島・南城市  那覇中心部から車で50分ほど

車を走らせながら海へと続く絶景が楽しめるニライカナイ橋。途中に展望所もあるので、ゆっくりと景色を楽しむこともできます。

もちろんこの他にも有名な場所は多く、さらに地元の人だけが知る絶景スポットも実はたくさんあるようです。住んでみて自分だけのそんな場所を探してみるのも楽しそうですね。
※所要時間はあくまで目安です。渋滞など道路状況によって変わります。

沖縄はマリンスポーツのメッカ

マリンスポーツが大好きで沖縄に移住したいと考えている人も多いようです。家族みんなで楽しめるのもマリンスポーツの大きな魅力の1つですね。様々な種類があるマリンスポーツの中でも、シュノーケリング、ダイビング、パラセーリング、シーカヤックなどが人気の上位を占めています。

沖縄本島では4月からゴールデンウィークにかけて海開きが行われ、10月いっぱいまでは海で様々な遊びを楽しむことができます。シュノーケリングやダイビングなどはウェットスーツなどを着れば1年中楽しめますよ。

海に囲まれた沖縄ですから、マリンスポーツができるビーチやスポットは公営のものからホテルのビーチまで数多くあります。地元の人々は身近にあるローカルビーチを利用することも多いようです。

12月下旬~4月上旬にかけて楽しめるホエールウォッチングにも、ぜひ参加してみたいですね。那覇市から西に約40kmの慶良間(けらま)諸島などが、ウォッチングポイントとして有名です。

楽しみたい!独自の沖縄文化

独自の伝統文化が育った沖縄。1429年から約450年間続いた「琉球王国」が築いた文化ともいわれています。

琉球王国では中国や日本、朝鮮、東南アジアなどの国々と積極的に交易を行い、多彩な文化を吸収しながら風土にあった文化が築かれました。

沖縄に暮らすなら、沖縄文化に触れる機会を増やしたいですね。ここでは代表的な沖縄文化について紹介します。

シーサー

魔除けとして屋根の上に置かれているシーサー。古代オリエントのライオンでシルクロードを経て中国から伝わったという説が有力です。

三線(さんしん)

伝統芸能に欠かすことができない三線ですが、琉球王国時代に中国から伝わったといわれています。三味線とは違って棹の部分は短く、胴の部分はニシキヘビの皮が貼られています。那覇市内には三線を教えてくれる教室も多いので一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

紅型(びんがた)

紅型は沖縄を代表する美しい色合いの染織物です。琉球王国時代に東南アジア諸国や中国との交易の中で生まれたといわれています。海や山や空の色など沖縄のカラフルな美しさを表現しているのが紅型の大きな特長です。現代風にアレンジしたアクセサリーなども人気を集めています。

エイサー

旧盆の精霊送りが発達した民俗芸能です。色鮮やかな衣装と大きく響く太鼓の音、そしてエネルギッシュな踊り。最近では、那覇市の「一万人のエイサー踊り隊」、沖縄市の「沖縄全島エイサーまつり」など大きなイベントが盛り上がりを見せています。

琉球ガラス

沖縄では明治時代からガラス製造が盛んでした。戦後、アメリカ軍が愛飲していたコーラやビールの色つき瓶を再生して生まれたのが琉球ガラスで、カラフルさや気泡の美しさが大きな特徴です。手頃な値段のものもあるので、普段使いのコップなどで楽しめます。

沖縄には食べる楽しみもいっぱい

沖縄そば、ゴーヤチャンプルー、ラフティー(豚皮付きバラ煮込み)などは本土でもすでによく知られている沖縄料理ですが、地元の食事はさらにバラエティ豊かです。

ゴーヤチャンプルーのチャンプルーとは、元々は「ごちゃまぜ」の意味で、現在では「島豆腐入りの炒め物」の総称です。沖縄には、もやしが入った「まーみなーちゃんぷるー」、キャベツ入りの「たまなーちゃんぷるー」「そーめんちゃんぷるー」など様々なチャンプルーがあります。

他にも「んぶしー(味噌煮)」、「ひらやーちー(沖縄のお好み焼き)」、野菜炒めを卵でとじてご飯にのせた「ちゃんぽん」、衣が厚い「沖縄天ぷら」など一度は食べてみたくなる料理がいっぱいです。

島豆腐、島らっきょう、海藻である海ぶどう、紅イモ、シークヮーサーやパッションフルーツ、ドラゴンフルーツなど独自の食材もいろいろあります。本土でも食べることはできますが、沖縄で食べるとさらに新鮮でおいしいはずです。

泡盛はコミュニケーションツール

沖縄のお酒といえば泡盛。原料にタイ米、そして黒麹を使う独特の製法の蒸留酒です。年月をかけて熟成させた泡盛を古酒(クースー)といいます。古酒は香りがよく、甘く、舌触りがまろやかで人気があります。沖縄では泡盛はコミュニケーションツール。話が弾み、飲んでいるうちに自然と歌や踊りが飛び出します。

温暖な気候と豊かな自然環境の中で趣味を充実させ、文化ある場所に暮らしたい。そう考えている皆さんにとって沖縄は理想的な場所なのではないでしょうか。自然にしても、遊びにしても、文化にしても、そこには未体験の楽しさがたくさんありそうです。さぁ、沖縄へ。あなたはもう決断しましたか?

参照データ

沖縄県 県内の入域観光客数の推移
国勢調査 人口等基本集計結果の概要
厚生労働省 人口動態統計
沖縄気象台 観測データ