子どもがすこやかに育つためには、親だけが子育てに関わるのではなく、周りのひとの理解や協力が必要になります。「地域住民を含む社会全体で子育てに取り組んでいる」そんな街で子育てできれば理想的ですね。
ここでは、「子育てに必要な施設」「街(行政・地域)の子育て支援」「街を見る」の3つのポイントに注目し、子育てしやすい街を選ぶことについて説明します。

子育てに必要な施設とは?

子育てに必要な施設としてまずあげられるのが病院です。子どもがいると病院を利用する機会が多くなります。病気だけでなく、ケガをしたとき、予防接種をするとき、また、病院に健康診断に行くこともあります。特に、子どもがまだ小さいころは、今まで元気に遊んでいたのに急に体調が悪くなり慌てることがあります。そのため、かかりつけの小児科が近くにあるだけでなく、夜間診療も受け付けてくれる病院があると便利ですね。

また、大抵の場合、小学校高学年になれば、子どもは徒歩や自転車に乗ってひとりで病院に行けるようになります。その分、手が掛からなくなって助かりますが、病院に行くまでの交通量は気になります。子どもでも安全に行ける範囲内に病院があると安心ですね。

子どもが安心して遊ぶことができる公園は、子育てをする街に必要ですね。虫を捕まえたり、植物で遊んだり、道草しながら散歩ができる遊歩道もあるとなおいいと思います。子どもがまだ小さいころは芝生のある公園と遊具が充実している公園があると便利です。小さい子どもは遊具で遊ぶことが大好きですし、公園に遊びにいくことで同年代の友達も増え一緒に遊ぶようになるでしょう。それに子供を連れてきているお母さん達、いわゆるママ友との会話から近隣の子育てに関する情報を色々と聞くこともできますね。

また、特に男の子の場合ですが、小学生になるとボールを使って遊ぶのが好きになります。ただ、小さい子ども達が遊んでいるような公園では球技が禁止されていることが多いので、野球やサッカー、ドッジボールなどができる広い公園もあればよいですね。

子どもが小さい頃からたくさんのものに触れ合うことは、心の成長に必要なことですが、そんな情操教育のために図書館は必要な施設でしょう。

図書館では本を読んだり、借りたりできるだけではなく、読み聞かせの会などのイベントも行われています。赤ちゃん向けや、小さい子ども向けなど、子どもの年齢に合わせてわらべうたを歌ったり絵本を読み聞かせてくれたりします。場所によっては英語など外国語で楽しむ読み聞かせ会も行われています。ことばや本に親しむいい機会になりそうですね。

もちろん教育施設も必要です。通いやすい距離に保育園や幼稚園、小学校があることはもちろんですが、共働き夫婦の場合、学童保育所の事も考慮した方がよいでしょう。学童保育所は小学校の近くにあることが多いですが、複数の小学校の子ども達がいる学童保育所の場合、通っている小学校から距離が離れてしまうこともあります。子ども達の移動のことを考えれば、学童保育所も近くにあると便利ですね。また、都市部では私立中学への進学率が高い教育熱心なエリアがあります。子どもの教育を充実させたいのであればそのような街に住むことも選択肢のひとつです。

行政、地域の子育て支援を確認しよう!

国の政策として少子化対策への取り組みが重視されるなかで、子育てしやすい環境作りのために、各地方自治体は積極的に子育て支援施策に取り組んでいます。全国に目を向けてみると、ユニークで魅力的な子育て支援施策があります。

3万円分の子育て支援券の発行、2人目以降は保育料無料!(三重県鳥羽市)

三重県鳥羽市では子育てにかかる経済的な負担を軽減するために、紙おむつ、粉ミルク、離乳食など子育てに必要な商品を市内の指定店舗で購入できる「とばっ子子育て応援券」の発行や、幼稚園や保育園に在籍する幼児等が2人以上いる世帯については2人目以降の保育料無料という施策を行っています。

※平成29年1月時点

妊娠期から切れ目のない子育て支援!(埼玉県和光市)

埼玉県和光市では、フィンランドの子育て支援制度を参考にした、妊娠から子育てまでの一貫した支援制度を行っています。妊娠期では「プレパパママ教室」や「マタニティ食育講座」などを開催し、身近に知人がいないひとや相談の場がないひとのフォローに取り組んでいます。産後は、「クッキング教室」「赤ちゃん学級」など子育てに不安の多い新米パパママを応援する施策を行っています。

※平成29年1月時点

駅から保育園への送迎支援!(千葉県流山市)

千葉県流山市では、送迎保育ステーションに子供を預けると、指定保育園までバスで送迎してくれるサービスを行っています。家から保育園まで距離が離れている場合や、兄弟で別々の保育園に通う場合など送迎が便利になりますね。

※平成29年1月時点

このように、地方自治体では子育て支援施策を通じて、「様々なニーズに応えた保育サービスの提供」「母子向け医療サービスの充実」「子育てにかかる経済的な負担の軽減」を行っています。つまり、地方自治体や地域が積極的に子育て環境の整備に取り組んでいる街は、子育てしやすい街と言えるでしょう。行政が行っている子育て支援の取り組みについて調べてみることで今まで気付かなかった子育てしやすい街が見つかるかもしれませんね。

街の実際の様子を確認しよう!

子育てしやすい街を探すときに、街にある施設や、どのような子育て支援施策があるのかを調べることと同時に、もうひとつ重要なことがあります。それは、実際にその街に行ってみて街の様子や住んでいるひとの暮らしぶりを見ることです。では、実際に街の様子を確認するとき、どのようなことに注目すればよいでしょうか?

まずは子どもがたくさんいる街かどうかを見てみましょう。子どもがたくさんいる街は子育てに適しているかもしれません。子どもがたくさんいるということは、子育て世代のひと達も多く住んでいるということです。そのため、子育てに関する情報がたくさん入ってきます。住んでいる方や施設など街全体が子どもに慣れているので、子どものことをより優先して考えてくれるかもしれませんね。

また、歩道が整備されているかどうかも確認したい項目です。子どもが安心して道路を歩くには、整備された歩道が必要です。国道のような大きな通りではなおさらです。路地に入った場所では、一時停止などの標識があるかどうかも確認したほうがよさそうです。

子どもの笑顔がたくさん見られる街は大人にとってもいい街と言えるでしょう。子育てをイメージしながら、街にある施設や行政支援、実際の街の様子を確認し、子どものことを優先した街探しはいかがでしょうか。